日経平均株価はGW明けに2万3000円回復も 「最悪のシナリオ」は徐々に回避されつつある
一方、外需系企業の株価が浮き沈みしている間に、内需系企業、特に消費関連(小売、外食、消費財メーカーなど)企業の株価が、じわりと盛り返しを見せている。
以前から、「日本人以外」の消費、すなわちインバウンド消費については、市場でもしばしば好材料として取り上げられてきた(ただし経済統計であるGDPにおいては、インバウンド消費は輸出に分類されている)。以前は耐久消費財やブランド品の「爆買い」が注目されたが、そうした購買は一巡し、最近では消耗品や体験などの「コト消費」にシフトしているとみられる。
このため、資生堂、ライオン、花王といった、外国人にも人気がある化粧品や日用品を製造する企業の株価が堅調に推移したり、そうした消耗品を取り扱うドラッグストア(マツモトキヨシなど)の株価が上振れしたりしている。また海外からの観光客を呼び込もうとして、小売店・ショッピングモールや宿泊施設の改装が進むとの思惑から、丹青社なども注目を集めている。
「車の両輪」による市況押し上げを期待
こうしたインバウンド消費に加え、日本人の個人消費が、持ち直しつつある。これまでは、人手不足からパートやアルバイトなどの賃金が上昇していたものの、正社員などフルタイム労働者については、企業経営が慎重なためか、賃金上昇率がパートなどに劣後していた。しかし、フルタイム労働者の1人当たり賃金の前年比も、緩やかながら伸びが高まっており、これが消費者心理の下支えにも、ようやく働き始めたように考えられる。
すでに小売、外食などを中心とした2月本決算企業の決算発表は終わっているが、セブン&アイホールデイングス、イオンなどの大手小売チェーンは前期、今期とも増益基調だ。消費関連企業の3月の月次売上も公表が終わっており、それをみると、同月の既存店売上高の前年比増加率が、2月を上回った企業が145社、下回った企業が86社、変わらずが4社と、好転した企業数が優勢だ(3月売り上げの集計は、水戸証券投資情報部の資料による)。特に3月における売り上げの伸びが高かった企業として、ウエルシアHD、ジンズ(眼鏡)などが挙げられる。
このように、先行した外需関連企業の株価が、いったん下押ししたのち持ち直しを見せ始めている一方、内需系企業の株価が徐々に上値をうかがうようになってきている。内外需の車の両輪が物色面でうまく回れば、結果として日経平均株価、TOPIXなどの株価指数が押し上げられる展開に入ると期待できる。
これから3月本決算企業の決算発表の後半戦に入るが、ひところは「企業業績への円高の悪影響を市場が恐れ、決算発表を機に国内株式市況が大きく下落する」と懸念する向きもあった。しかし円相場は、日米金利差拡大を素直に捉え、むしろドル高円安気味の推移となっている。日本が連休中で、日本の機関投資家が休んでいる間に、海外勢が円買いの仕掛けを行なうことは過去にもあったため、目先円高に振れる恐れは完全には払しょくできないものの、為替の波乱は起こりにくい地合いだと言えるだろう。
このため、当面の日本株は、堅調な地合いをたどると予想する。日経平均の見通しについては、今週は2日しか市場が開かないため、次週(5月11日(金)に終わる週)までを含めて、2万2200~2万3000円を予想する。
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