ゾゾ前澤社長が「採寸スーツ」刷新に込めた夢 3年後に売り上げ4倍へ、カギを握る「PB戦略」

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ただ、すでに出店ブランドは6400を超え、漸減傾向にある国内アパレル市場でのさらなる成長余地には限りもある。また、売り上げの約3割とされる手数料や、激化するクーポン値引き合戦に頭を悩ますアパレル企業の中には、ゾゾタウン依存からの脱却を模索する動きも出始めている。

10年以内に時価総額5兆円目指す

個々の体型に合ったサイズの商品を世界中でネット販売するという、これまでになかった試みとはいえ、売上高2000億円の目標達成へのハードルは高い。国内の衣料品市場におけるECの比率は現状約1割。ファッションECとしての集客力は他社を圧倒するものの、実店舗を中心に購入する消費者や、海外在住者に対する認知度向上が欠かせない。

前澤友作社長は旧ゾゾスーツが失敗したことについて、「新しいゾゾスーツは洗濯が可能で、電池切れの心配もない。前向きに考えましょう」と語った(写真:スタートトゥデイ)

ベーシック衣料はユニクロや無印良品など大手の競合も多く、品質や機能性の面での差別化も課題となる。採寸データに基づいたフィット感がウリではあるが、業界関係者の間では「ゆったりとした服が好まれるトレンドもあり、体型にピッタリの服を求める人がどこまでいるか」と首をかしげる声も上がる。

時価総額は昨年8月に1兆円を突破したが、4月27日時点では9847億円に落ち込んでいる。世界トップクラスのアパレル企業に近づくことを目指し、10年以内に時価総額を5兆円に伸ばすことを前澤社長は宣言した。

1月に実施した東洋経済オンラインのインタビューで、前澤社長は「ファッション業界は昔ながらの重鎮の方たちが世界を牽引しているが、新しい世代で新しいマーケットに変えたいという責任感がある。ゾゾスーツがそのきっかけになるのではないか」と語っていた。生まれ変わったゾゾスーツを武器に、PBとゾゾタウンの2本柱でさらなる成長を実現できるか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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