ゾゾ前澤社長が「採寸スーツ」刷新に込めた夢 3年後に売り上げ4倍へ、カギを握る「PB戦略」

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改良版ゾゾスーツを基に採寸されたデータは、即時にスマホで確認することができる(写真:スタートトゥデイ)

新しいゾゾスーツでは、スーツの随所に施された水玉模様の「ドットマーカー」をスマホで読み取り、体型を計測する仕組みを採用。同梱されたスタンドにスマートフォンを立てかけ、2メートルほど離れた地点で音声案内に従いながら360度回転すると自動で撮影される。所要時間は約3分、スマホ上では採寸データや全身の3Dモデルを確認することができる。

スタートトゥデイはゾゾスーツを今期中に600万~1000万枚配る目標を掲げる。1枚目は無料で配布する方針だが、ゾゾスーツの原価は1枚1000円。600万枚では60億円のコストとなり、広告宣伝費として処理する。

7月から世界72カ国で発売

ここまでゾゾスーツを拡散して狙うのは、今年1月に発売を始めたPB(プライベートブランド)「ZOZO」の拡大だ。4月27日に発表された同社の中期経営計画では、2021年3月期に売上高3930億円(2018年3月期実績は984億円)、営業利益900億円(同326億円)という高い目標をぶち上げた。そのうちPB事業の売上高で2000億円を見込む。

PBはゾゾスーツで採寸したデータに沿ってオーダーに近いかたちで生産し、ベーシック商品を基本とする。現在発売しているのはTシャツ(1200円)とジーンズ(3800円)の2種類。6月にはカジュアルシャツやスキニージーンズなど3型を追加で投入し、今期中に10~20型に増やす計画で、7月からは世界72カ国で発売するという。

PBを強化する背景には、ゾゾタウン事業ほぼ一本足の収益構造に対する危機感もある。ゾゾタウンは値引きクーポンや「ツケ払い」など話題性の高いプロモーション施策や、有名ブランドの新規出店で顧客を獲得してきた。

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