「米軍のシリア早期撤退は現実的ではない」 マティス国防長官「駐留軍が必要だ」

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国防省と国務省は、イスラム国の継続しての衰退を確かなものにするためには、長期にわたる米政府の関与が必要との姿勢を保ってきた。シリアとイラクの広大な地域を支配下に置いていたイスラム国だが、2014年に始まった米国と同盟国による軍事攻撃によって、その多くの支配地域を失いつつある。

米軍部隊のシリア撤退の可能性については、トランプ大統領の身内である共和党内から厳しい見方が聞こえてくる。共和党は、2011年にオバマ大統領がイラクから米軍部隊を撤退させた際にも、これを激しく非難した経緯がある。これによってイラク軍は徐々にほころびを見せ、最終的には2014年にイラクで勢力を拡大し始めたイスラム国を前に崩壊している。

同公聴会ではまた、統合参謀本部議長を務めるジョセフ・ダンフォード海兵隊大将が「我々が学んだことは、イラク軍には国内の治安を維持するだけの力がなく、それが敵に再興のチャンスを与えてしまったということ。まさにISISが成長するきっかけとなった」と証言した。

ゲリラ戦を展開してくることはほぼ確実

米軍による空爆、上陸した米軍部隊や米軍の支援を受けたシリア国内軍事組織による攻撃は、イスラム国に対して大きなダメージを加えてきた。しかし、イスラム国は依然いくつかの地域を支配しており、残りの自称「カリフ」たちが捕らわれた際にはゲリラ戦を展開してくることはほぼ確実と見られる。

マティス国防長官は、シリア東部において近日中にイスラム国戦闘員に対して「よりいっそうの」攻撃の計画があると付け加えた。「数日中に中部ユーフラテス川渓谷、残りの支配地域において、よりいっそうの攻撃があるだろう」。

(執筆:イドリーズ・アリ、フィル・ステュワート、編集:ジェームズ・ダルグレイッシュ、デイヴィッド・グレゴリオ)

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