「漫画村」騒動で問われる広告業界の倫理基準 海賊サイト運営者の収益源は「ネット広告」
今回の騒動においても、最終的には広告主にもメディアが直接取材をする展開となり、DMM.comの片桐社長は「DMMの予算規模からみると広告費は小さい額であり、媒体まで全てチェックしきれておらず、気がつくのに遅れたことは、社長としての自分の責任です」というコメントを出されていました。
小さい額にもかかわらず、こうやって共犯者のようにメディアに取り上げられてしまうというのは、広告主にとっても、広告代理店にとっても、広告業界にとっても、非常にもったいない出来事と言えるはずです。
WELQ騒動の再来
実はWELQ騒動の際にも、同じ問題が発生しました。
DeNAの一連のメディア群における確信犯的なコピペ作業が明確になったときに、ユーザーの怒りはDeNAだけでなく、DeNAのメディア群に出稿していた広告主にも向かったのです
今回の漫画村を起点とする一連の騒動を見ている限り、ネット広告業界全体で見ると、WELQ騒動で明確になった違法性の高いサイトに広告を出稿することのリスクというものを、まだまだ真剣に捉えていない広告主や広告代理店の方が多いように感じてしまいます。
さらに驚くのは、今回の漫画村騒動が2月頃から違法性が大きな話題になりはじめていたにもかかわらず、4月の段階でもまだ広告主の意思に反して広告が出続けていたというケースがある点です。
たとえば4月21日には、ねとらぼが16日の段階で海賊サイトに広告が表示されていた大手企業への問い合わせをおこなっています。
広告主側の言い分を聞く限り、代理店やアフィリエイターが勝手に広告を配信していたということのようですが、サイト上でこの企業の広告を見たユーザーの多くがまったく異なる印象を持っていたことは間違いないでしょう。
ネット広告業界に詳しい方からすると、今回騒動になっているような広告アドネットワークや広告代理店には、そもそも大手企業が利用するのはリスクが高いような企業も多く含まれたようですので、実際には今回の騒動が結果的にはまったく他人事という企業が多い面もあるようです。
しかし、結果的にはネット広告業界全体が、一部のネットユーザーから海賊サイトの共犯者とみられているのは非常に残念な事態と言えますし、ネット広告業界全体でこうしたサイトへの広告出稿が不適切であることを啓発する必要もあるように感じます。
もし、今日に至るまで、漫画村騒動を他人事と思ってしまっている広告業界の方々がおられるようでしたら、是非いま一度あらためて自分たちの広告やサービスが、犯罪企業を支援する結果になっていたり、そういった事態に巻き込まれやすい仕組みになっていないか、見直してみて頂ければ幸いです。
DIGIDAY[日本版]の関連記事
DeNA「WELQ」騒動、その「勝者」と「敗者」
広告後の人生:月額課金のスポンジECを起業した、元広告代理店CEO
広告代理店向け「受かる履歴書」6つの実例 ?クリエイティビティは、こうアピールしろ!
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら