「漫画村」騒動で問われる広告業界の倫理基準 海賊サイト運営者の収益源は「ネット広告」
ここまでの話を聞くと、出版業界以外の広告業界の方々や広告主の方は、自分に関係ない話だな、と思われる方が多いかもしれません。ただ、実は非常に大きく関わってくる話なのです。
そもそも、漫画村のような海賊サイトがさまざまな追及の手を逃れてもイタチごっこで運営されつづけてしまうひとつの要因に「ネット広告」があります。
違法な手段でも何でもとにかく大量のページビューやアクセスを集めることができれば、それをネット広告を通じて換金できることができれば、収益をあげられる、という思考回路は、コピペメディア騒動の際におおいに問題になり、類似の手法をとっていた大手企業のネットメディアは軒並み方向転換を余儀なくされました。
ただ、残念ながら、漫画村のように違法行為と分かっていても、そのリスクを取ってでも、広告収入での一攫千金を狙う会社というのは後をたちません。
ここで特に問題になるのは、ネット広告の仕組みや、それを販売する広告代理店、そしてそこに広告を出稿している広告主が、その海賊版サイトの共犯者になってしまうことが起こっているという点です。
あくまで一番悪いのは、違法行為を違法行為と確信犯で実施している海賊サイトですが、それを知りつつ広告の仕組みを提供したり、広告を出稿している広告代理店や広告主を批判する流れが明確にネットでは生まれています。
今回の漫画村騒動においても、ネット上の有識者や、ブログ、ITmediaなどのメディアの追及により、実際に漫画村などの海賊サイトに広告システムを提供していたり、広告を出稿していた広告代理店や広告主に批判が集まり、一部企業が釈明リリースを出す展開になっているのです。
ネットユーザーの視点
ここで、DIGIDAY読者の皆さんが注意しなければいけないのは、自分たちが出稿先として違法サイトがあると知らなかったとしても、もはやネットユーザーの視点からすれば、広告が出稿されている時点で確信犯にしか見えなくなりつつあるという点です。
実際に、一部ブログでは「広告業界」が海賊版サイトと完全にグルである、と業界全体がこうした違法行為を許容しているのではないかという問題提起がされていました。
個人的に問題だと感じるのは、まだまだ多くの広告主や広告代理店の方々がこうしたニュースに無頓着な点です。