「漫画村」騒動で問われる広告業界の倫理基準 海賊サイト運営者の収益源は「ネット広告」
ここ数週間、漫画村に関連する話題がメディアやネットで騒がれていますが、DIGIDAY読者のマーケティング業界、広告業界の皆さんは目を通されていますでしょうか?
漫画村とは、主に違法コピーされた漫画などの書籍を無料で読めるようにしてしまっているサイト。類似のサービスとして、Miomio、Anitubeなどがあり、まとめて海賊版サイトや、海賊版漫画ビューアサイトなどと呼ばれているようです。
漫画村の違法コピーが問題ではないかという議論は、実は昨年からネット業界の一部ではおおいに話題になっていました。
なにしろ今年の1月にはSimilarWebの利用者数のデータでlivedoorなどの大手サイトを抜いたほど。
そのため、今年の2月には衆院予算委員会でも取り上げられ、漫画家の交流団体がアクセスしないように求める声明を発表するなど、今年に入って一気にその悪影響が注目されるようになってきたサイトです。
「ネット広告」が一因
そもそも、コンテンツの違法コピーの問題は、一昨年の医療メディアWELQを起点とする一連のコピペメディア騒動の際におおいに注目を集めたため、業界全体でのコピーに対する違法性が認識され、ある程度業界は健全化されたと言われています。
そういう意味では、今回の漫画村も本来なら普通に著作権者が訴訟をして、サイト閉鎖に追い込めば良いのにと思う方も多いでしょう。
ただ、残念ながら漫画村に関しては、著作権が保護されない国のサーバーを使い、CDNサービスを使って運営元が分かりにくくするなど、非常に巧妙な手段で日本の法律による追及を逃れる構造にしているため、なかなか閉鎖に追い込むことができずに徐々に話題を集めるようになったというのが実情です。
さらに、ここ数週間で一気に議論が沸騰したのが、政府からインターネットプロバイダに対する海賊サイトへのブロッキング要請です。
海賊サイトが問題だから、そのサイトへのアクセスをブロックするように要請するというのは、一見正しそうに見えますが、実はそこには憲法が禁止する検閲にあたる恐れがあるという別の軸から見た大きな問題があり、ネット側の有識者がこぞって政府や出版社に対して問題提起をし、この話題が大きく注目を集めるようになったのです。