高速道のSA・PA、思わず目を見張る最新進化 「やむなく立ち寄る施設」ではなくなった

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しかし、日本道路公団が民営化され、SA・PAの運営の自由度が増したことをきっかけに、休憩施設のサービスも大きく変わり始めた。一般の道路に「道の駅」が整備され、地場産品の販売やご当地の味を売り物にするレストランが併設されるなど、“ライバル”の充実も変化の大きなきっかけになっている。

「最低限の休憩施設」からわざわざ立ち寄りたい施設へ

私が日常よく利用するのは、東京・練馬と新潟・長岡を結ぶ関越自動車道だが、この途中に一風変わったパーキングエリアがある。寄居星の王子さまPA(愛称、正式名称は寄居PA)である。

寄居星の王子さまPA(筆者撮影)

上下一か所ずつあるPAのうち上り側だけではあるが、その名の通り、施設の外観も中で売っている商品やレストランのメニューも、フランス人の作家・飛行家であるサン・テグジュペリの小説として世界中に根強いファンを持つ「星の王子さま」の世界そのものである。無関係の商品は基本的に置いていないので、埼玉県のお土産を買おうと思っても空振りに終わってしまうほどそのコンセプトは一貫している。

また、一つ東京寄りの嵐山PA(上り)は、“ブラック”パーキングエリア。といっても、何も労働条件が悪いわけではなく、扱っている商品やメニューが、「ブラックカレー」(竹炭パウダー入り)、「ブラックソフトクリーム」(濃縮エスプレッソ入り)、「まっくろ黒ごまもち」など、黒いものばかり。近年のSA・PAのトレンドは、こうしたここで「しか」手に入らない、あるいは味わえないラインアップを揃えるタイプと、ラーメンの名店が入ったり(今年3月、東名・足柄SA上りの「らぁ麺MORIZUMI」、今年4月、九州道古賀SA下り線の「ラーメン一蘭」など)、話題の立ち食いステーキ店が入ったり(九州道・宮原SAの「いきなり!ステーキ」など)、行列店、人気店のメニューや商品が高速道路「でも」味わえる・手に入るタイプの、「しか」「でも」戦略が目立つ。

ほかにも、書店・CD店が入るSA(新東名・駿河湾沼津SA上り線)もあるし、今年3月には、100種類もの缶詰を販売する缶詰専門店が米子道蒜山SA下り線にオープンした。東名・海老名SAのメロンパンが全国的に有名になってからすでに10年以上が経つが、個性を競う時代の波は高速道路にも押し寄せてきている。

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