ネットフリックスが権利を買い漁る真の狙い これはクリエイターにとって毒か薬か?

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ネットフリックスから億単位の多額の報酬を得ていない制作元や芸能タレントにとって、これは魅力的な売り込みに見えるかもしれない。また、2017年に20億ドル(約2100億円)以上の予算を番組制作に費やしたHBOだけではなく、そのほかのネットワークや主要なストリーミングサービスも、オリジナル番組の制作を減らすことで、それぞれのプロジェクトにより多くの注目を集めることができる。2018年にオリジナルのテレビ番組制作に10億ドル(約1050億円)の予算を投入する計画のあるアップルでさえ、これまでのところ12の番組を制作中、というのが現状だ。

「これが、アップルやHBOに行く人が増えている理由だ」と、ネットフリックスに番組を販売したひとりのメディア幹部は語った。「彼らが言うには、番組数が(ネットフリックスよりも)少ないプラットフォームであり、ひとつひとつの番組により多くの力をかけられる」。

制作元のなかには、すでにこれをネットフリックスによって肥大化しすぎてしまったプラットフォームに、新しいアイデアを持ち込むチャンスだと見ているものもいる。

「プレミアム感を出そうとしているフランスのカナルプラスなどの国際的なプレイヤーですら、コンテンツプールは小さくなっている。これはネットフリックスが権利をがんじがらめにしているのが要因だ」と、そのメディア幹部は語る。「これは私たちにとってはチャンスだ。なぜなら、私たちがやっているようなカテゴリの番組を購入できる機会を失っている世界のバイヤーたちに売り込みがかけられるからだ」。

マーケティング計画を強めるネットフリックス

2018年初頭、ネットフリックスはマーケティング費を50%増額し、20億ドル(約2100億円)にまで引き上げる計画を発表している。ブルームバーグメディアによると、このストリーミングの巨人はマーケティングやPRの専門家の雇用にも力を入れているが、多くは同業他社から倍額のオファーで引き抜いているという。ネットフリックスのウェブサイトには、50以上のマーケティングやPRの求人枠が載せられている。

このネットフリックスのマーケティング戦略のいくつかは、すでに目に見える形で世に出てきている。スーパーボウルの期間中、ホラー映画の『クローバーフィールド・パラドックス』のトレイラー動画が試合直後に公開され、大きな注目を集めた。そしてつい先週、ネットフリックスはカナダ人の有名俳優、セス・ローゲンとの専属契約を伝えるプロモーションを行った。

ローゲンとネットフリックスとの契約により、次回のチャリティーコメディーの特別番組『ヒラリティ・フォー・チャリティ』がストリーミングプラットフォームで放送される。

ネットフリックスに番組を販売したメディアエグゼクティブのひとりによると、彼はネットフリックスにはオリジナルプロジェクトのプロモーションにもっと注力してくれることを期待しているという。ネットフリックスはマーケティング費用の具体的な数字を約束しなかったものの、『消費者の目に触れる』形でのキャンペーンが行われる予定だ、と彼は語った。

「契約書に明記はされていないが、機能はしている」と、彼は語る。「ネットフリックスは(自身のオリジナルコンテンツに関しては)多額のマーケティング予算を投じている。つまり、マーケティングに大きな力を注いでいくというのは自然な流れだ。マーケティングへの投資によるバックアップ体制が必要だ」。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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