ネットフリックスが権利を買い漁る真の狙い

これはクリエイターにとって毒か薬か?

ネットフリックス向けに番組を制作するメリットが高いのは周知の事実だ。ネットフリックスは、欲しいと思う番組に対しては躊躇なく他社よりも高い値段をつける。番組やエピソードの購入に関しては、ほかのどのストリーミングプラットフォームやテレビネットワークよりも大きな力を注いでいる。

また、制作元への干渉も強くはなく、クリエイターの自由にできる余地も多い傾向がある。さらに、ネットフリックスは大きな成功を手にしたことにより、HBOやAMCネットワーク、ブロードキャストネットワークやHuluとともに、エミー賞の運営にも関わっている。

主要なテレビスタジオのトップによると、これによって多くのテレビスタジオはネットフリックスに「ノー」ということが難しくなっているという。「コンテンツの販売元が、年次決算で最低ラインを満たすことを考えた場合、概して一番大きな額を支払ってくれる相手に頼ることになるだろう。そして多くの場合、これはネットフリックスが満たしてくれる」とその人物は語った。

テレビスタジオやそのほかのコンテンツ販売元は、ネットフリックスとの契約に際してはライセンス契約やシンジケーションを通じた追加収入の道が閉ざされることになる。これは、ネットフリックスはオリジナルのシリーズ番組や面倒なライセンス契約よりも、権利のすべてを保有する方針を強めているためだ。制作元は、それによりライセンシングが可能なオリジナル番組の制作活動を続けることと比べても利益が取れる、ということを認めなければならないという面もある。

「ネットフリックスが映画やテレビ番組をジャンルを問わず見境いなくガツガツと買いあさっている結果、売り手市場になっている」。メディアコンサル企業のクリエイティビーメディアの創設者であるピーター・チャシー氏はそう語る。「ネットフリックスと仕事をしているクリエイターやコンテンツオーナーにとっての主なマイナス要素は、ネットフリックスが紹介する新しいオリジナルコンテンツの数が多すぎて、オーディエンスの注目を引くことがどんどん難しくなってきていることだ。より強いマーケティング戦略の確約なしには、こうした映画やテレビ番組は大量のコンテンツのなかで埋もれてしまうという厳しい現実に直面してしまう」

ネットフリックスのマーケティング協力が不透明な恐れ

最近ネットフリックスに番組を販売した会社のトップの3名、そして以前こうしたマーケティングキャンペーンに際してネットフリックスと協働した1名を含む、計4名の情報元によると、ネットフリックスは、特定のオリジナルのプロジェクトに対するマーケティング協力を保証しているという。常につきまとう問題は、ネットフリックスのいう保証そのものが不透明でプロジェクトの種類によって度合いもさまざまになってしまうことがあるということだ。

ハリウッドに暮らす、あるベテラン幹部によると、ネットフリックスとの契約では、映画スタジオやテレビネットワークとの交渉の仕方とそう大きく変わらないという。ネットフリックスオリジナルの番組については、特にウィル・スミス主演の『ブライト』やブラッド・ピット主演の『ウォーマシン』などの注目度の高い映画では、契約に際してマーケティングに関する内容が議論される。多くの名作を残しているテレビプロデューサーのライアン・マーフィー氏との3億ドル(約320億円)の5年契約など、ネットフリックスがコンテンツに多大な額のコミットメントを行うような場合には、マーケティングにも莫大な力が注がれることになるだろう。

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