ネットフリックスが権利を買い漁る真の狙い

これはクリエイターにとって毒か薬か?

情報筋によると、ネットフリックスはそのほかの個人とのオリジナルコンテンツ契約に関してもマーケティング協力を約束しているが、ほかのテレビネットワークとまったく同様に、契約文書内で明確な金額の記載がされるわけではない。「業界の常識のようなものがあるにせよ、いままでやってこなかった類のマーケティングにとらわれてしまうようなことはないだろう」と、そのベテラン幹部は語る。

このような例では、ネットフリックスが行うオリジナル番組のマーケティング協力は、ぼんやりとした不明瞭なものになってしまう可能性がある。

「透明性のかけらもない。ネットフリックスは、『マーケティング』という切り口で、さまざまな形でコンテンツが目に触れるように検討しているので、Android端末向けに配信された『セックス・アンド・ザ・シティ』を見た18歳から34歳までの女性には、(あなたの番組が)おすすめされていることを証明するだけで、契約条項を満たしているといい張ることができる」と、マーケティングキャンペーンでネットフリックスと協働したある情報筋は語った。「そんなこと、どうやってわかるというのか」。

ネットフリックスがコンテンツの権利保有に力を入れている、または少なくとも10年単位での世界中でのライセンスを購入していることを受けて、情報筋のなかには、マーケティングのコミットメントをネットフリックスに求める必要などないと、主張する者もでてきた。「結局全部持っていかれるのだから、彼らのやりたい放題だ」と、そのハリウッドの幹部は語る。

別の情報筋は、ネットフリックスは視聴者データの共有に難色を示しており、番組がどの程度視聴されているかを知るすべがないため、制作元や芸能タレントは逆境に立たされているという。

「ハリウッドでは、全員がスコアカードを渡される。映画が公開されると、全員の郵便受けが空になる。コメディドラマ『ロザンヌ』は4月、180万人に向けて公開されたのは誰もが知っている。サブスクリプション型のストリーミングサービスでは、1年間に渡って何かに取り組んだとしても、アイオワ州に住んでいる自分の母親にランキングが1位だったことを教えることはできない。これはアメリカの文化にとって大切なことなのに、だ」と、ネットフリックスにライセンスプロジェクトを持つスタジオ71でCEOを務めるレザ・イザッド氏は語る。「これは新しいパラダイムだが、ネットフリックスに限ったことではない」。

ライバルにとってはチャンス

HBOは最近になって、制作元や芸能タレントへの売り込みに力を入れはじめている。「あなたを忘れるようなことは決してないので、一緒に仕事をしましょう」。HBOで番組制作部門のプレジデントを務めるケーシー・ブロイズ氏は、ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、その売り込み文句を語った。

「子供が50人いたら、全員のサッカーの試合を見に行くことはできないだろう」と、同氏は語った。「私たちは全員のサッカーの試合を見に行くし、すべての試合におやつまで用意してやる親のようなものだ」。同じインタビューで、HBOのCEO、リチャード・プレップラー氏は批判まじりにこう語った。「数が多ければ良いというものではない。質が良いものであるということが大事だ」。

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