北朝鮮への疑念「現存の核兵器はどうする?」 核実験場の廃棄を宣言したものの…

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「われわれは、金委員長が本当に真剣に交渉に臨む気があるのかどうかその確証を得たいと探っているところだ。そして、この声明は、確かに彼は真剣であり、そして世界に向けて彼は本気であるとの意思表示をしようと試みていることを示したといえる」と、憂慮する科学者同盟グローバル・セキュリティ・プログラムの共同責任者である、デービッド・ライト氏は述べた。

北朝鮮は、核とミサイルのプログラムは、敵対する米国への戦争抑止力として必要であるとこれまで述べてきており、米国本土を直接核弾頭で攻撃するとを目標としてミサイル発射実験を実施してきた。

数々の実験と、トランプ米大統領と金委員長の間の挑発的な言動の応酬がエスカレートしたことによる戦争への懸念の高まりは、金委員長が新年の演説で、軍事的緊張の緩和を求めるまで続いていた。

現存している核兵器はどうするつもりなのか

金委員長は、2月に韓国で開かれた冬季オリンピックに代表を送り、旧敵との関係に雪解けをもたらした。

ソウルの高麗大学で北朝鮮研究を専門とするナン・スンウォック教授は、金委員長が自ら核開発を中止する計画を宣言したことは、とても「衝撃的」であったと述べる一方、彼の発言は疑問を残したと付け加えている。

「金委員長の発言は、北朝鮮がさらなる核開発プログラムを推進することは断じてないということなのか、あるいは、すべての核施設を完全に閉鎖するということなのか、まだはっきりしていない。それに、現存している核兵器はどうするつもりなのかもわからない」(スンウォック教授)。

大方の米国当局者や専門家たちは、最近の突然の外交方針の転換は、経済制裁の解除を勝ち取るための策略であるとの見方を示し、金委員長の非核化に対する誠意に疑念を抱いている。

国連安全保障理事会が、2006年に北朝鮮が最初の核実験を行ったことを受けて同国に課した経済制裁は、過去10年以上にわたって延長されており、石炭、鉄鉱石、魚介類、布地などの主要品目の輸出を禁止すると同時に石油の輸入を制限してきている。それが、金委員長が2011年に権力を握って以来採用している並進路線政策(軍事開発と経済成長を同時に行うこと)の遂行を脅かしてきたのである。

ソウルの東国大学で北朝鮮研究を専門とするコー・ユアン教授は、北朝鮮に核兵器を放棄する用意があるとは信じていないと述べた。「金委員長は、核開発が完了したので、今後は経済の発展に尽力していくと言っているに過ぎない」と、コー教授は述べている。

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