あからさまな武器商人トランプの危険な内幕 大統領執務室から異例の直接介入
ニクソン、クリントン、ジョージ・W・ブッシュら歴代大統領も自国防衛産業の基盤を強化する必要性を強調していたが、もっと遠回しなやり方だったと、超党派のシンクタンク、国際政策センターで軍備・安全保障プロジェクトのディレクターを務めるウィリアム・ハータング氏は指摘する。
「トランプ氏ほどあからさまな大統領はいない。彼ほど声高に訴えた大統領はいなかった」
オバマ前大統領は、安全保障の必要性にかなうと考える兵器システムについて、同盟諸国の首脳と話すことはあったが、兵器を売る仕事からは距離を置くことを好んだと側近は語る。
オバマ政権は2014年、米武器メーカーがかつてないほど海外で売却することを可能とする規制緩和を実施したが、トランプ政権の通常兵器移転政策(CAT)を全面的に見直すという計画は、オバマ政権の規制緩和をはるかに超えている。オバマ氏は一部の武器売却において批判を受けたことはあるものの、規制には明確な一線を設け、人権に関する厳格な基準を満たすことを義務付けていた。
トランプ大統領はすでに、オバマ氏が阻止したいくつかの契約にゴーサインを出している。その中には、70億ドル規模のサウジアラビアへの精密兵器売却が含まれている。これら武器売却を巡っては、イエメン内戦において、サウジが主導する軍事作戦により市民の犠牲者が出た一因であるとして人権団体が懸念を示している。
トランプの「ディール」とは?
トランプ大統領が1月17日に行ったクウェートのサバハ首長との電話会談において、ボーイングの契約が議題に上った経緯は、トランプ政権が武器輸出の強化をいかに真剣に捉えているかを示している。
米国務省は、オバマ政権が終わる数カ月前の2016年11月、クウェートへの戦闘攻撃機FA18スーパーホーネット40機売却を承認した。
だが、米国の湾岸同盟国であるクウェートはその後、交渉を長引かせているように見えたと、米当局者と業界筋は言う。サバハ首長が昨年9月に訪米し、トランプ大統領と会談したときにも、契約はまだ締結に至っていなかった。
トランプ大統領は当時、記者団に対し、クウェートの指導者の要請により、自身が介入して国務省から契約の承認を得たと語った。しかしこれは誤った主張である。1年近く前にすでに承認されていたからだ。
それから数カ月後、トランプ大統領からクウェートに圧力をかけるというボーイングの願いは国家安全保障会議(NSC)幹部らに伝わり、大統領の1月の電話会談における「テーマ」の中に含まれることになったと、事情に詳しい関係筋2人が明らかにした。
今度は確かにトランプ大統領が変化をもたらした。それからまさに数日後、クウェート国営メディアは契約はまとまったと伝えた。
クウェート政府はコメント要請に応じなかった。ボーイングの広報担当者もコメントを控えた。
(Matt Spetalnick and Mike Stone 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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