あからさまな武器商人トランプの危険な内幕 大統領執務室から異例の直接介入

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さらには面倒な手続きを簡略化し、協定を結んでいる同盟国の日本や韓国だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国やサウジアラビア、その他の湾岸同盟諸国向けの広範囲な武器売却において、契約承認を早めることを求めている。詳細の多くは機密扱いになるという。

最も恩恵を受ける企業には、ボーイングのほか、防衛機器大手ロッキード・マーチン<LMT.N>、レイセオン<RTN.N>、ジェネラル・ダイナミクス<GD.N>、ノースロップ・グラマン<NOC.N>が含まれる。これらすべての企業株価は、昨年1月のトランプ政権誕生以来、上昇率が2桁に上っており、ボーイングの株価は2倍に膨らんでいる。

トランプ大統領の側近はまた、フランスやイスラエルがしているように、米国製兵器を売り込むため、マティス国防長官やロス商務長官ら閣僚を含む政府高官に、主要な国際兵器見本市にもっと出席してほしいと考えている。

「パリの航空ショーに行けば、フランスの外相がエアバスのパビリオンの前に立っている。われわれは後塵を拝している。やり方を変えなければ」と、ある米高官は語った。

また複数の当局者によれば、幅広い武器輸出を可能とするイニシアチブに加え、トランプ大統領は軍用ドローンの輸出規制を緩和する別の文書にも署名するとみられる。軍用ドローンは外国政府の買い物リストの常連だという。

米国防総省傘下の国防安全保障協力局(DSCA)によれば、昨年の対外有償軍事援助(FMS)は総額420億ドル。米国にとって最大の競合相手であるロシアからの輸出は通常、米国の規模の半分程度だと専門家は指摘する。

最高のセールスマン

多くの米大統領が自国の防衛産業を売り込んできたが、トランプ氏ほど臆面もなくそれを行った人は誰も知られていない。元不動産王である同氏は、米国製品を売り込んでいるときが一番生き生きしているように見えることがある。

ホワイトハウスの声明によると、トランプ大統領は定期的に各国首脳と会談や電話によって特定の武器売却について協議しているという。昨年11月の日本訪問では、米国製兵器をもっと購入するよう公式の場で安倍晋三首相に直接要請した。

より最近では、先月大統領執務室で行われたサウジアラビアのムハンマド皇太子との会談で、トランプ大統領は、サウジアラビアに売却された米国製ジェット機や艦船、ヘリコプターなど兵器の写真パネルを掲げ、「われわれは世界最高の軍用品を製造している」と記者団に自慢して見せた。その傍らでムハンマド皇太子は笑みを浮かべて座っていた。

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