「首脳会談失敗」なら予期される次のシナリオ 可能性高まる米朝「電磁パルス」合戦の脅威

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今後の米朝による対話と交渉において、北朝鮮は、体制の維持とともに何を要求してくるであろうか(写真:KCNA/via REUTERS/File Picture)

今年2月の平昌五輪参加が決まるまで、国際社会からの制裁をものともせず核開発、ミサイル発射実験を繰り返していた北朝鮮。高まるその脅威に対し、ドナルド・トランプ米大統領は、「すべてのオプションがテーブルの上にある」と発言し、圧力を強める姿勢を維持していた。

本記事は会員制国際情報サイト「Foresight(フォーサイト)」(新潮社)からの転載記事です。元記事はこちら

そして実際、昨2017年11月、米議会に提出された「議会調査局報告書」によれば、軍事力行使から駐韓米軍撤退まで、7つの潜在的軍事オプションが提示されている。最悪の軍事力行使の場合、たとえ北朝鮮が通常兵器だけを使用したとしても、初日の戦闘だけで死者は3万から30万人に達すると言われており、もし大量破壊兵器を使用した場合は、犠牲者数は優にこれ上回ることが予想される。

米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト『38ノース』の最新レポートは、北朝鮮による「電磁パルス(EMP)攻撃」の可能性も警告している。

そうした緊張状態が続いていた中、北朝鮮は突如一転、対話に応じる姿勢を見せ始めた。暗夜に一筋の希望を灯す大きな転機となった平昌五輪参加に続き、南北首脳会談、さらには史上初の米朝首脳会談の合意にまで至った。

しかし、政権の外交・安全保障を担当する大統領補佐官を対北強硬派のジョン・ボルトン元国連大使へと交代させ、中国に貿易戦争を仕掛けるトランプ大統領と、電撃訪中を成功させて中朝の強い紐帯を見せつける金正恩朝鮮労働党委員長の鍔迫り合いは、ギリギリまで続くだろう。どちらが知者で上手か。それとも双方とも愚者で危険なディールを進めているだけなのか――。予断を許さない状況が続き、様々な論考が飛び交い、すぐ先の将来さえ見通すことは困難を極めている。

「電磁パルス攻撃」とは

ここで目を転じ、現場で軍事の戦略・戦術を研究している者として、作戦レベルの視点から今後の朝鮮半島において予期されるシナリオを考えてみたい。

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