ジャカルタの鉄道「日本製新車」導入で転機?

「中古車両」安価購入政策は終焉の可能性も

インドネシア運輸省はENを採用していないが、インドネシアの鉄道車両メーカー、インドネシア国営車両製造会社(INKA)製の電車は、1990年代後半から、主にボンバルディア(カナダ)とのノックダウン生産となっていることもあり、すでにENが適用されている。しかし、それらの車両に不具合が多発したことから、わが国の中古通勤車両が輸入されることとなった。もし、このときに中古車両が導入されていなければ、インドネシア運輸省の規定もENに準ずる形になっていた可能性が極めて高い。先代車両が築いた実績の上に、今回のMRTJ車両の到着があるわけだ。

ちなみに、車両の外観デザインは、当初のイメージパースでは黄緑色をベースとした、インドネシア的エッセンスを盛り込んだものであったものの、2016年10月のMRTJ社長交代を発端として、製造開始間際の土壇場でありながら昨今よく見られる流線形を基調としたフォルムに全面的に変更されるという一幕もあり、結果的にいっそう日本の今どきの電車の面影を残す結果となってしまった。

最初の陸揚げは別の車両だった

最初に陸揚げされたのは東京メトロ千代田線の車両だった(筆者撮影)

約20年ぶりに日本から導入される新型車両ということもあり、現地では鉄道ファンならずとも、車両の到着に期待を募らせていた。だが、そんな期待とは裏腹に、最初に貨物船から陸揚げされたのはMRTJ南北線用の車両ではなく、東京メトロ6000系の車両というサプライズがあった。東京地下鉄千代田線で長年活躍したこの車両は、通勤鉄道(KCI)に導入される予定だ。

実は、3月6日に豊橋港を出港したこの船は、その後東京港でKCI向けに6000系10両を積み込んでから、ジャカルタに向かってきたのである。輸送業者は両車両で異なる。しかし、日本からインドネシアに向かうバラ積み船需要はそう多くなく、積載両数が少ない場合、船会社は途中数カ所での寄港を余儀なくされる。そのため、同時期にジャカルタへ向かう船を待っていた車両が、たまたま「乗り合わせてしまった」のである。

一足先にインドネシアの地に上陸した6000系車両は、すぐに港湾地区の貨物駅へ陸送され、残念ながら異国の地での新旧両車両顔合わせは実現しなかったが、そういった意味で、ジャカルタにおける鉄道ビジネスの歴史的転換点であるように思えた。中古車両から、新型車両にたすきが渡されたのだ。

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