市販車を「ボンネットバス」化する匠のスゴ技

会津観光で外せない名物バスは訪日客も絶賛

会津バスの佐藤社長が市民に意見を求めたところ、引き続きボンネットバスを希望する声が圧倒的に大きく、後継車もボンネットバスに決まった。とはいえ、ボンネットバスは改造を伴うため調達費用は箱型バスの比ではない。価格は非公表だが、「経営としてそれなりの覚悟で臨んだ金額」(佐藤社長)という。

ただ、重要な問題があった。三菱ふそうは現在、ボンネットバス化のような本格的な改造事業は行っていないのだ。ボンネットバスに改造できる業者はほかにいないのか。会津バスは日頃から付き合いのある宮城県白石市にある車体製造・整備会社「ヴィ・クルー」に相談してみたところ、「造ってみましょう」と二つ返事で引き受けてくれた。

ボンネットバスの改造作業を行った宮城県白石市にある車体製造・整備会社「ヴィ・クルー」の社員。左から2人目が、新旧両方の改造を手掛けた三星善浩事業本部長(記者撮影)

同社の三星善浩事業本部長は、かつて三菱ふそうで働いており、マイクロバスのローザをボンネットバスに改造した経験があったのだ。偶然にも2001年から運行するハイカラさんも三星氏が手掛けたものだった。「これも運命かもしれない」。三星さんは新旧2種類のボンネットバスの製造を引き受けることになった。

配線・配管を全部引き直し

今回も三菱ふそうのローザを改造することになったが、利用者が多いことを勘案して一回り大きいサイズの車を採用し、座席数を12席から18席に増やした。三星さんは、「ボンネットバスへの改造は簡単ではない」と言い切る。

たとえば、箱型のローザはエンジンの上に運転席があるが、ボンネットタイプにするために運転席を後方に移す必要がある。そうすると、ハンドル操作による回転をギアボックスに伝達するステアリングシャフトを運転席が後退した分だけ長くしなくてはいけない。同様に機器類やエアコンなどの配線、配管などを全面的に引き直す必要があった。

ボンネットバスへの改造が始まった段階では、まだ箱形バスの状態だ(写真:ヴィ・クルー)

外側はエンジンを覆うボンネットカバーを造ればそれでよいというわけでは済まない。各所にわたる細かい改造は厄介だ。ウインカー一体型のバンパーひとつとっても、ローザのウインカーをそのまま使用するため、ウインカーがぴったりと設置できるようにバンパーの形を整える必要がある。

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