市販車を「ボンネットバス」化する匠のスゴ技

会津観光で外せない名物バスは訪日客も絶賛

会津バスの初代ボンネットバス「ハイカラさん」。2001年に導入され17年間活躍したが、2代目登場でお役御免に(記者撮影)

古いボンネットバスを調達して高頻度で走らせるのは現実的ではない。当時、複数の自動車メーカーが市販のマイクロバスを改造したボンネットバスを観光・イベント用として全国に売り込んでいた。そこで、ハイカラさんも三菱自動車(現・三菱ふそうトラック・バス)のマイクロバス「ローザ」を改造したボンネットバスを採用することにした。

ハイカラさんは、会津若松駅を起点に約1時間かけて市内を1周して会津若松駅に戻るというわかりやすさが観光客に支持され大人気に。当初1時間おきだった運行ダイヤは、同じタイプのバスを2台に増やし、30分おきになった。さらに逆方向を回る周遊バス「あかべぇ」も2台投入。あかべぇには箱型のバスを導入し、計4台のバスが周遊することになった。逆回りも含めれば15分おきにバスが会津若松駅を出発することになる。

なお、運行ルートには市役所や会津若松駅などの公共施設も含まれるため、市民の利用も多い。このため、乗客を乗せきれずボンネットバスの後ろに、空いている路線バスを連ねて運行することもざらだ。

会津バスの佐藤俊材社長は、「ハイカラさん」の集客力に自信を示す(記者撮影)

もともと観光の足として導入されたボンネットバスだったが、次第にバス自体が観光名物となった。会津若松市の観光サイトのトップページでも観光スポットや名産品に交じって、ボンネットバスが堂々と紹介されている。「ハイカラさんを目当てにやってくる観光客も少なくない」と、会津バスの佐藤俊材社長が胸を張る。

戊辰戦争150年に間に合わせた

そのハイカラさんも2001年の導入から17年を経た今、走行距離は数十万kmに達し、しかも満員の客を乗せて毎日高頻度ダイヤで走るため、故障がちになってきた。修理しても1週間とたたずにまた故障することもある。代わりに箱型のバスをハイカラさんとして走らせる日も増えてきた。ボンネットバスで名所を巡るのが会津観光の売りなのに、これでは看板倒れだ。おまけに外装にも傷みが目立ってきた。雪国だけに、冬場に道路にまく融雪剤の成分が車体に悪影響を与えているのだ。

会津バスは老朽化したボンネットバスを新型車両に置き換えることを決断した。2018年は旧会津藩が一方の当事者となった戊辰戦争から150年という節目の年だ。関連イベントも目白押しで、新たなバスを導入して大勢の観光客を出迎えるという意味ではグッドタイミングだった。

どんなバスに置き換えるか。当初はボンネットバス以外の選択肢も考えていた。普通のバスに装飾を施すことでレトロ感を醸し出すこともできるからだ。

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