歴史のなかの未来 山内昌之著

歴史のなかの未来 山内昌之著

著者は無類の読書家にして、幕末の歌人・国学者、橘曙覧(たちばなあけみ)が詠んだ「たのしみは珍しき書人にかり始め一ひらひろげたる時」の世界をこよなくめでる。それだけ、本書は書物をめぐるエッセイ集とはいえ、すこぶる密度濃く、読書の醍醐味をわからせてくれる。

叙述は、時に雄渾、時に繊細、時に周到。歴史から何を学ぶか、思索の場は日本にとどまらない。取り上げられた書籍は160冊に及びながら、違和感なく、それぞれのエッセイに溶け込んでいる。

古典を、「人間の苦悩や思索の迷いを解決するために歴史や文学や哲学で貴重な叡智を与えてくれる書物」ととらえ、大学新入生に読むべき20冊を推薦。「通俗の書」を含めた選定は“和漢洋回”の確かな教養の裏打ちがあればこそであろう。

著者はイスラーム研究、国際関係史の専門家。日本と違い欧米メディアの国際ニュースの多くが中東関連であることに、歴史的に合点がいく一冊でもある。

新潮選書 1280円

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