いじめの認識が甘すぎる小中学校にモノ申す 「ウチにはない」と言う教師は信用できない
「さいわいウチの学校にはいじめがないんですよ」
日々探偵として、いじめの調査をしていると、時にこんなことを言う教師と出会う。この仕事をして15年近くになるが、残念ながら「いじめのない学校なんてありえない」と断言できる。
その理由は、2016年6月に国立教育政策研究所が発表した「いじめ追跡調査」にある。同研究所は、毎年小学4年生から中学3年生までの6年間を追跡調査して、その間に起きたいじめなどの統計を取っている。調査の結果、いじめの代表格である「仲間はずれ」「無視」「陰口」について6年間、被害経験がなかった生徒は574人中55人(9.6%)。また、いじめの加害経験がなかった生徒は570人中55人(9.6%)だった。つまり、およそ9割の児童生徒が一度は、いじめの被害もしくは加害行為にかかわったわけである。
冒頭の私が出会った教師は、なぜ「いじめがない」と言ったのか。その理由は、「いじめを正しく認識していない」か、あるいは「いじめを認識したうえで、意図的になかったことにしている」かのいずれかだと思う。
なかなか浸透しない「いじめの定義」
その理由を説明する前に、まず現在の「いじめの定義」を見てみよう。2011年10月に滋賀県大津市の中学2年生が自殺した事件をきっかけに、2013年6月に制定された「いじめ防止対策推進法」には次のように書かれている。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
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