もうひとつ重要な技術は「近くより、遠くでホメる」です。
直接ホメるのもいいのですが、「青木さんがあなたのことを、すごーくホメてたよ」と他人を介して伝わるほうが、インパクトが強いのです。
Aさんの先のセリフには、この2つの技術が巧みに盛り込まれているのです。
「ステキですね」で終わらせず、その理由を述べているし、自分ではなく母親の意見として述べている。
かつ、母親が「こういう人をお嫁さんにもらいなさい」と言う状況があるとしたら、誠実なつき合いを経て親に紹介する場面です。妙齢の女性がある意味で夢見るシーンでしょう。
つまり、「あなたは重要な存在だ」「あなたは必要な存在だ」という強烈なメッセージをホメ言葉として発信しているのです。
こんなことを、会って間もない女性にさらりと言えてしまう。心にもないことでしょう、きっと。そして言いなれているのでしょう、きっと。だから、悪魔的だと思うのです。
その女子アナは、「そんなこと言われたの、初めてです!」と涙を流さんばかりに大感激していました。あぁ、やっぱり、悪魔的……。
セールスにも使える手法
Aさんのホメ言葉にはもうひとつ重要なポイントがありました。それは、「もし……だったら」+「メリット」の説得技法を使っている点です。
これはセールスの人がよく使う手法のひとつで、「もし貴社がこの機械を導入したら、来年度から3年間で1億円のコスト削減ができます」とか、「もしこのサービスを利用したら、来店者数は3割増加します」といった具合に使います。メリットが相手のニーズや課題をとらえていればいるほど、また実現する可能性が高ければ高いほど、相手に対する訴求力は膨れ上がります。このために営業パーソンはコストメリットの試算を行ったり、他社事例を使ったり、あの手この手を積み重ねるわけです。
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