日産、EV「リーフ」の使用済み電池を再利用 福島県浪江町に専用工場を新設 

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 3月27日、日産自動車は電気自動車(EV)「リーフ」のバッテリー(電池)を再利用し、状態の良いものを交換用電池として5月から販売する計画だ。写真はリーフの使用済みリチウムイオン電池の検査を行うフォーアールエナジーの社員たち。浪江町で26日撮影(2018年 ロイター/Naomi Tajitsu)

[浪江町(福島県) 27日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>は電気自動車(EV)「リーフ」のバッテリー(電池)を再利用し、状態の良いものを交換用電池として5月から販売する計画だ。価格は新品と交換した場合のほぼ半額となる30万円(24KWhの場合)。

世界各国の環境規制強化でEVの普及が進む中、自動車メーカーはEVを安く生産する方法や、コストの約5分の1を占め高価な原料を使う電池の寿命を延ばす方法などを模索している。日産はEVの中古電池の再利用で電池交換の費用を安く抑え、EV普及を後押しする。

日産と住友商事<8053.T>の合弁会社フォーアールエナジー(4R、横浜市)は福島県浪江町にEV用中古電池再利用の拠点となる工場を新設、26日に開所式を催した。4Rの牧野英治社長は「EVで使い終わった電池を二次利用することでEV自体の価値を上げたい」と記者団に語った。浪江町は東日本大震災による福島第一原発事故に伴う避難指示区域だったが、昨年3月に避難指示が一部解除された。雇用を生み出す新工場は復興も支援する。

4時間で調べられる技術を開発

リーフは1台につき電池48個のモジュールを1パックにして搭載している。車の使い方などによってモジュールは劣化度合いが異なるため、どの程度劣化しているかを工場で1個ずつ解析する。これまでは全モジュールを解析するのに16日間かかったが、4Rは4時間で調べられる技術を開発した。

各モジュールは電力容量に応じて仕分けされ、容量が80%を超えるものはリーフ向けの交換用電池として再利用する。80%以下のものは電動フォークリフトやゴルフカート、街灯向けなどの電池として売り出す。工場では旧型リーフで年間2250台分の電池処理能力を持つが、まず年間「数百台」(牧野社長)から始め、将来的に1万台ヘ引き上げたい考え。

車載電池の再利用では、トヨタ自動車<7203.T>と中部電力<9502.T>が1月、ハイブリッド車やEVなどに使った電池の再利用に向けた実証実験を18年度から始めると発表。中古電池をつなげて蓄電池システムとして再利用するほか、中古電池からレアメタル(希少金属)を取り出し、新たな電池の材料として「リサイクル」することを狙う。

牧野社長は、4R単独ではEV用電池のリサイクルは難しいが他社と協力すればできる可能性はあり、持続可能なEV用電池生産の鍵になると語った。

(田実直美 取材協力:白木真紀)

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