訪日客が本当に望んでいる「おもてなし」の姿 実は「不安要素」ばかりのインバウンドの現場

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2.4%(2018年1月)という低失業率を誇る日本は、ほぼ完全雇用を達成した一方、さまざまな業界で人手不足になっている。特にインバウンド業界では、言語・リテラシー・プロ知識が全部揃っている人をなかなか見つけられない。

しかし、インバウンド業務が急増しているので、とにかく採用することが重視され、初期研修に時間をかけられず、業務を遂行しながら習得するOJT形式の研修が増えていると聞いている。したがって、このフライトで起きたことは、おそらく、十分な訓練を受けていないCAが、業務遂行だけで手一杯で、顧客目線でサービスする余裕がないことから生じたケースなのではないだろうか。

「おもてなし」は「顧客理解」から始まるもの

メンバーズカードもラッピング袋も、ファッション会社と航空会社にとって「服を売る」「人を運ぶ」といった本業から見ると、些末な「業務」にすぎないかもしれない。いちいち対応したら業務は大変なことになりそうだが、「神は細部に宿る」と言われるように、このささやかな業務がお客の満足度を大きく左右する。

とはいえ、企業や経営者から見ると、馴染みのある国内消費者より、訪日外国人への対応は何倍も難しいだろう。多言語対応、新決済方式の導入、人材育成、トラブル対応……考えるだけで頭が痛くなる。

ただ、ここで考えていただきたいのは、インバウンドは、日本国内で行われる国際ビジネスであり、他国の顧客と向き合うビジネスである。日本国内市場で数少ない成長性があるインバウンド事業に取り組みたいなら、定期的に顧客インタビュー、顧客アンケートなどを実施し、まず「顧客」として、彼らのニーズ、行動、満足度を理解することが必要だろう。

人手不足だからこそ、顧客理解を深め、「顧客目線」に立って、無駄を省くことが重要である。メンバーズカードとラッピング袋はあくまで一例だが、ターゲット層の外国人観光客はいったい何を求めており、そして何を気にしていないのかを区別することができる。結果、効果的・効率的に商品やサービスを提供することが、ますます進化するインバウンド業界で「勝ち組」であり続けるキーポイントなのではないだろうか。

劉 瀟瀟 中国若者富裕層ビジネスコンサルティング 代表

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りゅう しゃおしゃお / Xiaoxiao Liu

「中国・北京市生まれ。外交学院卒。東京大学大学院修士課程修了。メガバンク中国法人、大手シンクタンクなどで勤務。2019年7月~20年8月カリフォルニア大学サンディエゴ校国際政策・戦略研究大学院客員研究員。首相官邸観光戦略実行推進会議有識者など政府委員を務め、情報発信実績を多数有する。日本と日本企業の国際パフォーマンスの向上に貢献するために、①日本・中国を中心とした生活者行動②中国人向けマーケティング③日米中のヘルスケアイノベーションについて研究・コンサルティングをしている。趣味はグルメ

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