直6エンジンが今、見直されている本当の理由

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摩擦抵抗を減らすことが技術的眼目なので、エンジンの気筒数と排気量も落としたい。そうして6気筒から4気筒へ、排気量も減らして過給するという仕組みができ、ダウンサイジングターボは2000年代以降一気に普及した。

WLTPの時代

ところが、また法律が変わった。それが「国際調和燃費・排ガス試験方法」、通称「WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)」という新しい燃費基準である。わが国では2018年10月からの導入が決まっている。

クルマのようなグローバル商品に対して国によって燃費と排ガス測定方法がバラバラだと、それぞれに適合が必要になり、開発費が無意味にかさむ。さらに規制の側面からとらえれば、国境を越えて移動するクルマの規制がそれぞれ違うのでは意味も半減する。こうした理念によって、試験方法の一元化が企図され、WLTPが成立した。

WLTPでは、従来の規制より厳しい運転モードが組み込まれている。新たなテストモードはすべて例外なく冷間スタートであること。そして速度変化のシークエンスにおいて高い加速度が求められる。

WLTPで採用される走行モード。縦軸が速度で横軸が時間。色ごとに変わるレンジの最初に強い加速が求められているのがわかる。たとえば緑色のグラフの中では短時間で時速10キロ強から100キロ弱までの急加速が見られる

WLTPではモードが多岐に及んでいるため、「低負荷高速巡航」という特定の領域だけ燃費を改善する技術では通用しない。過給でトルクを持ち上げて低回転を多用するというダウンサイジングターボの手法ではエンジン負荷が頻繁に急変し、かつおおむね20km/Lを求められる新しいテストの帯域全体をカバーできない。ターボは本質的には狙った一点での性能を向上させる技術であって、幅広く性能を上げる技術ではない。

全域での性能を求められれば、排気量を増やさざるをえない。理想的な燃焼のためには1気筒あたりの排気量は450~500ccがベストなことはすでに知られているので、2リッター級なら直4でも足りるが、3リッター級ならば6気筒化が自然な流れになる。つまり、6気筒化そのものの理由としてはダウンサイジングターボが時代遅れになったことと考えていい。

しかし、ただ排気量を増やしても問題は解決しない。エンジンの熱効率を本質的に改善しないと規定の燃費が達成できず、巨額の罰金を支払わなくてはならなくなる。エンジンとは化石燃料の持つ熱エネルギーを燃焼圧に変え、その圧力をピストンで受け止めることによって動力を得る仕組みだ。

つまり燃費をよくしようと思えば、燃焼をいかに理想的な状態に保つかが課題になってくる。WLTPによって、今までテストモードに対する傾向と対策で対処されてきた低燃費性能が、もっと本質的な技術改革へと変わったことになる。

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