ダイソン新コードレス掃除機の凄すぎる機能 基本構造から見直してフルモデルチェンジ

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ダイソンが高価格ながらも売れる掃除機を開発、日本で成功して以来、日本の家電メーカーもさまざまなトライアルをしてきた。しかし、“ゴミを吸い取る”という掃除機の本質を追求していない……とまでは言わないが、機能性を追求するというイノベーションよりも、利用シーンを細かく掘り下げ、改良の積み重ねや新たな機能の追加といった方向に進んでいたように思えてならない。

そうした細かな利用シーンの掘り下げよりも、ダイソンは掃除機としての本質を追求した。その結果、一時的にはその差(商品としての価値)が縮まってきたようにも思えた。純然たる価格差の前に、消費者の目は他社の商品へと向かっても致し方ない。

このまま、しばらくは市場の成熟化が進むのだろう。そう思っていたが、ダイソンはCyclone V10の発表により、会社の姿勢やイノベーションに対する考え方を示してきた。

コード付き掃除機を「超える」性能

Cyclone V10は“新しい業界のベンチマーク”――新たに目指すべき基準と言える製品だと感じたが、筆者がより感じたのは、商品そのものの良さよりも、そうした製品が生まれてくるバックボーンだ。

Cyclone V10がフォーカスした改良点。そのもっとも基本的な部分は「コード付きのキャニスター型掃除機を超えること」だ。

デジタルモーターに集中的な投資を行い、高効率の空気流量を得るためのインペラーを改良した(筆者撮影)

しかし、無制限に電流を得られ、モーターやインペラーといった部品サイズに制約がないコード付きのキャニスター型掃除機は、同じ技術レベルで開発を行えば、間違いなくコードレスを超える。ここでダイソンが主張しているのは「コードレスのスティック型掃除機なのだから、これでも十分に高性能」といったエクスキューズを思いつかせないほど、十分に高い性能を発揮できているという意味だ。

この目標を達成するため、ダイソンは小型のデジタルモーターに集中的な投資を行い、高効率の空気流量を得るためのインペラーを改良。さらにバッテリーの状態が変化しても、変わらず同じ電流を供給する回路を開発することで、コードレスの懸念点である“パワー”の問題を解決した。

もっとも、パワーを引き出すだけならば、より大きなバッテリーを搭載し、より多くのモーターを搭載すればいいだけだ。しかし、それでは使い勝手が下がることは自明。Cyclone V10の長所は、従来製品に比べて軽量化したうえで、より強力な吸引力を実現している点にある。

その重さは従来製品の半分でしかない。その衝撃的なまでの軽さは、実際に手にしてみなければ実感できないだろう。“改良”というレベルは超えて、まったく新しいジャンルかと思うほどに扱いやすさが増している。

しかしながら、これでも完璧とは言えない。

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