原油価格が「1バレル75ドル超」になる理由 今は膠着状態だが、年央以降に上昇も?
原油相場は膠着状態にある。代表的な指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は1バレル=60ドル台前半から半ばで推移している。
市場は需給緩和を警戒している?
市場では米国における将来的な増産による需給緩和を懸念しているようだ。確かにその兆候はある。直近の米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比4基増の800基となり、前年同期の631基から大幅に増加している。2017年末の747基と比べても増加しており、増加傾向は鮮明だ。
産油量が増加するのも当然である。直近週の米国内の産油量は1038万バレルとなり、前年同期の同911万バレル、さらに昨年末の同978万バレルから大幅に増加している。市場はこの増加傾向を見て、将来的な米国内の産油量の増加を懸念しているのだろう。
一方で、米国内の原油在庫の増加はそれほどでもない。年初は4億2400万バレルだった原油在庫は、直近では4億3000万バレルにとどまっており、時間の経過と産油量の増加ペースを考慮すれば、むしろ在庫は引き締まっている印象だ。また、前年同期は5億2800万バレルであり、1年間で見ると、大幅に減少している。
これは、石油製品需要が堅調に推移していることが背景にある。同需要は2017年末の日量1994万バレルから、直近では2093万バレルに増加している。これは景気回復に伴う需要増加が背景にあると指摘できる。米国内の需給の引き締まりの背景には、輸入量の減少と輸出量の増加も上げられる。
輸入量については、国内の産油量の増加に伴い減少傾向にあり、直近では日量758万バレルと、2017年末の同790万バレルから減少している。一方で、輸出量は直近では日量148万バレルと、2017年末の同147万バレルから小幅に増加したが、2017年の同期は同71万バレルだった。今年2月には200万バレル超の週があったことを考えると、米国からの輸出は明らかに増加傾向だ。これも米国内の石油在需給全体の引き締まりにつながっているといえる。
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