あなたが家を出て行くということは「娘に母屋を明け渡す」、または「母屋を取られる」ことと同じです。これは不思議なことですが、母娘の力関係まで決定的に逆転する現象をよく起こしますので反対です。
私の知人宅で起こったことです。娘が母親を嫌っているその程度は異常なほどでした。それでも同居している以上、娘が母親をどれだけバカにしようと無視しようと、家庭内は母親としての出番で満ちています。母親の居場所は厳然としたものでした。
ところがある時小さな母娘のトラブルがきっかけで、数日間だけ母親が家を出て、その娘の心を静める話し合いが家族でなされました。そしてその瞬間から、娘は母親の仕事をすべて完璧にこなし、母親に一歩も家の敷居をまたがせなかったのです。電話も取らないのでその母親は娘に、母親としての説教どころか人を介して「家に入れてほしい」と哀願する立場になり、押し売りを追い払うように拒否され続けました。
息子夫婦に気を使って母屋を渡し、狭い部屋に引き下がったばかりに親より偉いと勘違いした嫁に軽んじられる舅・姑と同じです。往々にして住環境は人間の力関係を決めます。
母親から断絶してはいけない
あなたには娘との別居は母娘断絶を意味するようですが、それは違います。娘から家を出て行くと言っているのですから、巣立ちです。あなたはご自分の思いを娘に伝えたあとも彼女の心が開くまで待ち続ける母に変わりなく、あなたから絶対、断絶を考えるべきではありません。
器や立場が人を作ることが多いように、その職業で自立させることに心配は尽きないことでしょう。しかし彼女はあなたへの反感で凝り固まり、外で会うのは撮影現場の人だけです。今のままでは彼女の中で誤解が解けたり、親には親の事情があったと理解できたり、もっと健全な生活に目を向けるきっかけもすき間もありません。
お嬢様は「仕事」に出掛け、歪んでいますが体形維持に積極的です。彼女を「引きこもり」と決めつけるのは彼女の心の闇を見誤り、対策を間違わないか危惧します。各都道府県には「ひきこもり地域支援センター」というのがありますね。あなたの言うお嬢様の「引きこもり」がここに該当するかどうかはわかりませんが、あなただけでもまず専門家の助言を仰ぐのも、母娘にとって何かのきっかけやすき間づくりになると思われます。
そして当面は、先の置手紙作戦です。撮影現場からお払い箱になる年齢など、何が彼女の転機になるかわかりません。その時にあなたが傍にいることがとても重要です。テレビの中のような時間内の感動的な和解を求めず、良い母になるよう学びながら、いつまでも待っていることを伝えておきましょう。
「母親だって間違いだらけ失敗だらけの連続だ、それをいちいち憎しみに変えるな」と教えるのはその後ですね。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら