3月初日、「理系男子」に早めの内定が出た現実 企業はもう大学2年生に照準をあて始めた

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「みん就フォーラム」などを運営する、楽天メディア事業部ライフイベントメディア事業課の福地茂樹シニアマネージャーは、「3月1日は通過点に過ぎない。学生はすでに後半戦だと考えている」と分析する。昨年の夏から活動をしていることを考えると、すでに終盤といっても過言ではないかもしれない。

さらに、「昨年は企業もゴールデンウィーク前までに内々定を出すところが多かったが、今年は3月終わりから4月くらいにかけて、内定を出すところがだいぶ増えてくるのではないか」(福地シニアマネージャー)と予想する。早く情報収集が終わって志望意欲が高い学生を早めに囲い込もうという動きが見られる。

一方で、3月から就活を始めたり、この時期に企業の存在を知った学生に対しては、「早期の選考とは別の軸で選考が進む」(同)という。企業側は、優秀な学生を取りこぼさないよう、間口を広げる作戦だ。

売り手市場のためか、学生が人気企業に向けて、より多く集まっている印象が強い。合同企業説明会を見ても、誰もが知る人気企業には、就活生が群がる景色が数多く見られた。逆に知名度が低い中小企業などでは、あえて3月中の露出を絞り、人気企業の最初の選考が終わった時期に、採用広報を強化する動きもあるという。

現大学1年生は大きく日程が変わる?

そんな中で企業の関心は早くも、2020年卒(現在の大学2年生)向けの採用に移ってきているという。例年、就職情報サイト各社は2~3月ごろから、夏のインターンシップに向けた情報ページや説明会などの営業活動を始めている。しかし、「今年は企業側から、夏のインターンシップ向けの説明会などの情報はまだか、という問い合わせが早くもきている」(就職情報業界の関係者)という。インターンシップが有力な採用手法として認知された今、採用担当者としても早めに強化策を講じたいと思っているのだろう。

経団連は3月12日、2020年卒向けの「採用選考に関する指針」を発表。日程については、3月1日が広報活動の解禁日、6月1日が選考活動の解禁日とすることが決定した。4年連続で同じスケジュールになるが、前述の通り、企業の前のめり感は強く、今年以上の早期化・長期化となる可能性が高くなっている。

なお、2021年卒(現在の大学1年生)以降については、榊原定征・経団連会長が「2021年度以降入社対象については、引き続き検討を行い、秋ぐらいまでには1つの方向性を出したい」と発言。東京オリンピックの年で、大規模施設が使えず、合同企業説明会が通常通り行えないなどの事情も含めて、どのような形にするか検討するという。

景気動向にも左右されるが、人手不足、売り手市場はなお残りそう。いずれにしても過熱した採用活動はまだまだ続きそうだ。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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