46カ月客数減!苦境の「塚田農場」が放つ秘策 佐藤可士和氏と、3月後半に新業態をオープン

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塚田農場のリブランディングを進めてきた佐藤可士和氏(右)。エ-・ピーカンパニーの米山久社長(左)が約2年前にプロデュースを依頼した。店で使用する有田焼の皿は佐藤氏が絵付けした(撮影:大澤誠)

もう1つが過去の大量出店だ。塚田農場の店舗数は現在150店ほどだが、2015年度にはその5分の1に当たる33店を1年で出店した。エー・ピーカンパニーの米山久社長は「3年前に大量出店した店舗は完全に立地ミス。自社競合も起こし、大量出店の影響をまだ引きずっている」と話す。人材確保や教育が十分でないまま店舗数が急拡大したことで、店舗運営力が低下した。

米山社長は約2年前、ユニクロやTSUTAYAのブランディングで知られるクリエーティブディレクター、佐藤可士和氏に塚田農場のリブランディングを依頼。佐藤氏にとっては初めての飲食店の全面プロデュースだった。

見えてきた塚田農場の課題

2人で塚田農場の既存店や競合店などの食べ歩きをし、顧客調査を行った結果、新たな課題が見つかった。塚田農場の特徴である接客だ。「ヘビーユーザーのお客様を満足させることに力を入れすぎて、女性やファミリーなど本来ターゲットになるはずのお客様が離れていった。サービスのテンションなど演出が行き過ぎていたのは反省材料だ」(米山社長)。

焼鳥つかだでは、みやざき地頭鶏(じとっこ)を使用した焼き鳥を提供する(撮影:大澤誠)

もともとは30~40代の客をターゲットにしていた塚田農場だが、「20代の従業員が増えて、自分が接客しやすい同年代に対し熱心に接客した結果、それより上の年齢層のお客様が離れた」(社員)と、テンションの高い接客を好む20代の客が増えた。その結果、2016年ごろには3500円だった客単価が、足元では3200~3300円に下がっている。

「塚田農場の本質はいい素材を安く提供するということ。過剰な演出をやめて、シンプルに塚田農場、エー・ピーカンパニーの強みで勝負しましょうと米山社長に話した」(佐藤氏)。その考えを具現化したのが、今回立ち上げる焼鳥つかだである。

実は同社が焼き鳥業態を開業するのは初めてではない。2016年には客単価2000円ほどの低価格焼き鳥業態を立ち上げ、現在8店舗を運営している。今回の新業態はエー・ピーカンパニーが塚田ブランドの再生を懸けて立ち上げる旗艦店という位置づけだ。

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