中国との結びつき強めるミャンマーの実相 押し寄せる観光の波、豊富な資源も持つ
イギリス植民地時代に建てられた、ヤンゴン最大の市場「ボーヂョー・アウンサウン・マーケット」を訪れると、観光客の歓声に交じって、幾重にも可愛らしい声が重なる不思議な音色が聞こえてくる。独特のリズムを刻みながら近付いてくるその方向に目をやると、薄いピンク色の袈裟に身を包んだ小さな子どもの僧侶たちが列をなして托鉢をしている。
さっきまで、観光客の値切り交渉に頑として応じていなかった雑貨店の不機嫌そうな店主も、急に柔らかな表情になり子どもたちが持つ小さな鉢にお布施をしたりしている。
そこへ突如、静寂さをかき消すかのように聞こえてきたド派手な太鼓の音は、春節を祝う獅子舞踊りの集団だ。地元の人は大して気にとめる風もなく、首からカメラをぶら下げた観光客たちだけが懸命にその周囲に群がって写真撮影をしていた。
増え続ける観光客、そして、彼らを迎え入れるためのホテルの建設ラッシュや古くからの施設の立て直しなどで町の景色も刻々と変化している。そんななか、そっと耳を済ませば、日々の営みだけは変えずに淡々とそこに暮らし続けるミャンマー人たちの息遣いも聞こえてくる。
“パウッポー”の関係を維持してきた両国
民政化移行後、積極的に観光客の誘致を進めているミャンマー政府は、2020年までに世界中から訪れる観光客の数を年750万人と、軍政が終わった年の10倍近くに増やすことを目標としている。特に、国境を接する中国からの観光客は大事な上客だ。
ヤンゴン国際空港を運営するヤンゴン・エアロドロームは、春節の時期を前に増える中国人観光客を受け入れるにあたって、ミャンマーの文化やしきたりなどを掲載したブックレットを配布すると発表した。
また、アモイからの春節特別チャーター便を用意するなどして歓迎体制を整えた。ちなみに、価格が高騰する春節時期よりも、あえて安くなる春節後を狙って訪れる中国人観光客も多いらしく、彼らを迎え入れる体制は春節シーズンだけには留まらないようだ。ここへきて、中国などアジアからの富裕層を念頭に、カジノ合法化への動きも報じられている。
現地紙の報道によると、中国の大使公邸で開かれた春節を祝うレセプションにはミャンマー政府関係者や軍関係者など700人ものゲストが参加し、歌や踊りなどのパフォーマンスを楽しみ、中国とミャンマー双方の料理を堪能したそうだ。
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