30歳「発達障害」を妻に初めて話した彼の安堵

2人の子どもへ「遺伝したならしょうがない」

「上司からは『もっと頑張って成長してほしい』と期待の意味で仕事を振られることが増えていきました。それが僕にとってはプレッシャーとなり、キャパオーバーになってしまいました。もともと仕事をこなすのが遅いほうですし、仕事が終わったと思ってもミスがあって訂正されて戻ってきてしまう。

それで、どんどん残業が増えていき、吐き気やめまい、過呼吸など、うつの症状が出てきました。それらの症状が気になってはいたのですが、それよりも『みんなは仕事ができているのに、なぜ自分だけできないのだろう。なぜ自分は休日出勤して仕事をしているのだろう』と悩むようになりました」(西岡さん)

臨月の妻に発達障害の可能性を伝えるか悩んだ

仕事の量だけが増えていき、毎日残業の日々。「自分は要領が悪いからだ」と思いながら頑張っていたが、精神的にも肉体的にも限界を感じ始めていた。仕事ができないことに悩んだ末、ふと以前ネットで見かけた発達障害の記事を思い出した。そのときは「自分も当てはまる点があるなぁ」と思ったものの、たいして気にしてはいなかった。

ここまで悩んでいて、もし自分が発達障害であり仕事ができない原因がわかるのなら、少しは楽になるのではないかと病院への受診を検討するようになった。ただ、受診をためらう理由の1つに妻の存在があった。

「妻とは2011年に結婚しました。精神科を受診しようか悩んでいた昨年11月は2歳半の息子がいて、その月に第2子の出産を控えていました。出産間近のナイーブな時期に、『発達障害の可能性があるので病院を受診したい』と伝えることに抵抗がありました。妻を心配させたくなかったし、もともと人に相談せず溜め込むタイプなんです。そこで、里帰り中だった妻のもとへ出向き、タイミングが合えば話そうと決めました」(西岡さん)

里帰り中の妻の実家に行った際、事態は思わぬ方向へ動く。残業が多くなって気分の落ち込みのある西岡さんに、妻のほうから「元気がないけど何かあったの?」と聞いてきたのだ。そして、発達障害の可能性があること、病院を受診したいことを告白した。精神科に通うとなると世間からは偏見もあるため、不安もあった。妻は発達障害についてよく知らなかったので、症状の説明をした。すると「実際に当てはまることはあるかもしれないけど、一緒に生活していて不便とかおかしいと思ったことはないし、気にすることはないんじゃない?」と言われた。

しかし、西岡さんが困っているのは家庭での自分ではなく職場での自分だ。自分の仕事のできなさを話すと、「それだったら受診してみたら?」と、妻に言われて受診を決意した。

「最初に受診した病院の医師は発達障害にあまり詳しくないようで、『性格なのではないか』『仕事が忙しいだけなのではないか』と言われてしまいました。でも、発達障害に詳しい精神科を受診したら、ADHDとその二次障害のうつだと診断されました。まずはうつの治療をして、それからADHDの薬を処方してもらうことにしました」(西岡さん)

うつがある程度良くなってからはADHDの薬であるストラテラを処方された。最初は食欲不振や眠気などの副作用に悩まされたが、2~3週間飲み続けたところ、今まではできなかった書類仕事が、うそのようにこなせるようになった。

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