「森友問題」深刻化でも株が上がり続けるワケ

海外勢は「終わった問題」とみている

しかし、海外勢による日本株買いの大前提は、安倍政権の安定だ。今後、森友問題がさらに深刻化もしくは広がりをみせ、支持率が低下する中で、主要閣僚の責任問題に発展すれば、海外勢も株安材料として本格的に織り込み始める可能性が大きい。

海外投資家は、今年1月第2週から2月第4週までに現物株と先物を合わせ約7兆円売り越している。このうち約4.9兆円が先物の累計売り越しであり、海外市場がリスクオンに転じれば、買い戻される可能性もある。

だが、「安倍政権の信任が揺らぐような事態になれば話は別だ」(外資系証券)という。海外勢の日本株売買動向をみると、2014年以降は大きなポジションの傾きはみられていないが、今後の展開次第では、アベノミクス相場最盛期の13年に買い越した約15兆円に手が付けられるかもしれない。

実際、市場でも株安への備えがじわりと進んでいる。12日の日経平均は終値でも350円高と大幅高となったが、4月限の日経225オプションでは、権利行使価格2万円、1万9000円のプット・オプション(売る権利)のプレミアムが下げ幅を縮小し、出来高が急増する場面があった。

麻生氏辞任なら「飛車角落ち」に

今後の焦点は、安倍内閣の要ともいえる麻生財務相の進退だ。12日午後の会見では「進退は考えていない」と言い切ったが、当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が責任を取る形で、野党が「矛」を収めるかどうかは不透明だ。

現在、衆議院の自民・公明の与党議席数は3分の2を上回っており、参議院で法案を否決されても再可決できる体制にある。

しかし、野党が欠席したまま、与党だけで強引に審議を進めることができないのも現実であり、文書書き換え問題が浮上して以降、国会審議は空転。予算案の年度内成立は確保されているものの、衆院の優越がない予算関連法案の審議が遅れ、早期成立のめどが立たなくなると、予算執行にも影響が出かねない。

「働き方改革法案やカジノ法案、日銀正副総裁の承認などは先送りされる可能性が高まっている。消費増税も見送られる可能性が大きい」と、ニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストの矢嶋康次氏は懸念する。

また、与党内からも来年の統一地方選や参院選をにらみ、麻生氏の責任論が浮上する可能性がある。「細田派と麻生派で支えてきた安倍内閣のため、麻生財務相が辞任するようなことになれば、政治情勢の流動化を意識せざるを得ない」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)という。

FNN(フジニュースネットワーク)が週末に行った世論調査では、麻生財務相について、財務省による文書の書き換えが事実だった場合は、辞任するべきだとする人と、即刻辞任するべきだという人が、あわせて7割を超えたと報じている。

麻生氏に対する海外勢の評価は高いという。「官邸、財務省、日銀の微妙なバランスを麻生氏が取っている。甘利明氏に続き麻生氏が辞めれば、安倍政権は『飛車角落ち』になる。後任は見当たらず、政権の不安定化は避けられない」とBNPパリバ香港・アジア地域機関投資家営業統括責任者の岡澤恭弥氏は指摘。海外勢の日本株投資にも大きな影響を与えるとみている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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