「森友問題」深刻化でも株が上がり続けるワケ 海外勢は「終わった問題」とみている
[東京 12日 ロイター] - 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省決裁文書の書き換えが明らかになったにもかかわらず、12日の日経平均<.N225>は一時500円高と急上昇した。北朝鮮情勢の緩和によるリスクオン圧力の方が上回ったためだが、海外投資家がこの問題を十分織り込んでいない面もあるという。このため安倍晋三内閣の要である麻生太郎副総理・財務相の辞任などに発展すれば、一転して円高・株安になる恐れも残されている。
「終わった問題」とみている海外勢
「海外投資家は森友問題を一度終わった問題とみており、今回の件をまだ十分織り込んでいないようだ。麻生氏が辞める可能性もあると指摘すると、驚いていた」──。海外投資家動向に詳しい外資系証券の営業担当者はそう話す。
昨年10月の衆院選。表向きの争点は消費増税分の使途だったが、実質的にはそれまでの森友・加計両学園などの問題で支持率が低下した安倍政権の信任を賭けた選挙だったとの見方がもっぱらだ。その選挙で自民党、安倍政権が勝利したことで、海外勢にとっては「終わった問題」との認識だという。
「昨年も森友問題が騒がれた時期があったが、時間が経てば、支持率も株価も戻っていくという姿を市場もみてきている。今後の問題の展開次第だが、現時点では政局には至らないと市場は予想しているようだ」とJPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏は分析する。
海外市場は、前週末からリスクオンの動きに回帰。5月までに米朝首脳会談が開かれる見込みとなったほか、「貿易戦争」への警戒感もひとまず後退している。2月米雇用統計でインフレや急激な利上げを巡る懸念が和らいだこともあり、米株は大幅高。ナスダック<.IXIC>は過去最高値を更新した。週明けの日本株もこの追い風を受けている。