「金鉱山」に殺到する女性たちの何もない生活 経済的自由やチャンスがそこにはある

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金鉱そのものは子供の立ち入るべきところではない。にもかかわらず、多くの女性が赤子を連れて金鉱へ入っていく。それは潜在的報酬があまりに高く、リスクをしのぐからだ。浅い砂利の穴で採掘している1人の女性が筆者にこう言った。「採鉱は農業より難しいが、ずっと報酬がいい」。

ほかの女性たちも口々に言う。生活費はつねに発生するが、農業の場合、おカネが入ってくるのは年に1回か2回で、季節性も高い。こうした中、政府が何度も収穫期に採掘を禁止することを試みたにもかかわらず、人々はケニエバで一年中金を掘っている。

女性たちの目的は「不動産」

マリの多くの女性採掘者にとって、最終的な目標は不動産である。自分たちの子供に渡すことのできる彼女たちの名前の付いた土地は、一夫多妻の世帯では特に重要である。夫が亡くなったとき、相続財産の公正な分け前をもらえる保証がないからである。裕福になれば、自分の土地に賃貸物件を建て、農業では得にくい、安定した収入を確保できる。

マリ人の同僚と共同で、ケニエバの採掘者の調査を行った結果、金を採掘して収入を得ている女性のほとんどが、将来的に農業をするつもりがないことが判明した。これは男性採掘者の多くが農業機械を買ったり、畜産経営を始めるために貯金するのと対照的だ。

採鉱は、いまだに女性たちに不利益をもたらしている土地というしがらみから逃げ出す可能性を与えているのである。気候変動も脱出の必要性を高めているかもしれない。

西アフリカ・サヘルの男性農場主たちは、自分たちの妻や女性の親族を、彼女たちがこれまで耕していた土地から立ち退かせ始めている。これらの土地は、夫たちの土地よりも低地で湿度が高い傾向があるからだ。

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