スルガ銀「シェアハウス」のずさん審査に疑問 高収益で地銀のベンチマークだったが…

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スルガ銀行は、建物の耐久年数を超える長期の融資など、他行が躊躇するような不動産向け案件を積極的に手掛けてきた。

その特徴は「早い・長い・高い」。「独自の審査基準や商品があるため融資回答が早く、融資期間は長く、貸付金利は高い」(あるアナリスト)。地方銀行全体が低金利に苦しむ中、厚い利ザヤを背景とした収益力の高さは群を抜く存在だ。

72人中60人が「不正の疑いがあった」

スルガも業者の勧誘状況など調査に乗り出した(提供元「サブリース問題解決センター」)

だが今回の融資では、提出した預金通帳の写しなどに改ざんがあったと多くのオーナーが声を上げている。「スマートデイズ被害者の会」が実施したアンケートでは、72人中60人が書類の改ざんなど不正の疑いがあったと回答した。誰の手で不正が行われたかは不明だが、もし与信の可否を左右する信用力を確認する書類に改ざんがあったのならば、誤った判断で融資が実行された可能性がある。

融資を受ける際に使途自由のフリーローンを借りたオーナーも多い。7.5%の金利でローンを借りた50代の男性は「スキームが自動的に出来上がっていて、仲介業者からフリーローンと定期預金の契約をセットで求められた。少なくとも2年間は解約しないよう言われた」という。

スルガ銀行は2月22日に顧客にアンケートを送付して実態把握を進めている。東洋経済の取材に対しては、調査中を理由に回答を控えた。いまだシェアハウス向けの融資がどれだけあったのかすら、わからない状況だ。

個人向け融資のニッチ分野に特化して地銀経営の「ベンチマーク」と称されてきたスルガ銀行だけに、自ら融資実態を解明して説明することが求められる。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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