南北急接近の底流にある2人の「特異な出自」 金正恩は北朝鮮でなく、文在寅は韓国でない
その後、金正恩はスイスに留学し、首都ベルン近郊の公立中学校に通った。
語学や理科が苦手で成績はぱっとせず、スイスの美しい町並みや整備された公共施設を見て「西洋へのコンプレックスを抱いていた」と伝えられる。
帰国してから平壌の大学で学び、父の死(2011年12月)に伴って三代目の指導者となった。
南北を緩やかな連邦制にして結ぶことも視野?
一国を背負った金正恩は核・ミサイル開発に惜しみなく人とカネをつぎ込み、米国を右往左往させる水準にまで引きあげる。経済面でも、チャンマダンと呼ばれる在来市場の広がりを黙認し、企業や農家に自主性をもたらす改革も行っている。
経済規模では40倍以上の差を付けられている韓国に対して、核・ミサイルで圧倒的な優位に立ち、トランプ政権と軍事衝突に陥りかねないようなギリギリの挑発を行ってきた。これは父、正日もできなかったことだ。
文在寅は、保守的な韓国社会に抵抗し、つねに変革の方法を模索してきた。
金正恩も、古く、遅れた北朝鮮の体制を、国際的に認知される国に変えようと試みてきた。
ともに外国にルーツを持ち、独自の考え方で歩んできた指導者の数奇な運命が重なり、その目論見が現実のものとなりつつある。
南北を近づけ、民族の誇りを取り戻そうとする二人は、4月末の首脳会談で何を話し、どんな合意を行うのだろうか。分断を乗り越え、南北を緩やかな連邦制にして結ぶことも視野に入れているのかもしれない。想像を超える変化が朝鮮半島に押し寄せる可能性がある。
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