オックスフォード大学が「世界一」の理由 コリン・ジョイスがその実力を解き明かす

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オックスフォードで人文系科目を専攻する学生は大概、ほとんど講義を取らず、ほとんど講義に出席もしない(歴史専攻の3年間の大学生活で、僕は講義という「教育」を100時間も受けていない)。その代わりに、学生はほとんどの時間を、専門のチューターとの週一、1時間の個別指導「チュートリアル」に向けた準備の独学に費やす。だからオックスフォードの学生は知識を「導かれる」というより「案内」されるのだ。

卒業生で歴代首相や有名人は数知れず

オックスフォードには正式な創設年がないが、(イタリアのボローニャ大学に次ぎ)世界で2番目に古い大学とされている。11世紀から学問の中心であり続けたが、ヘンリー2世がイギリスの学者にフランスで学ぶことを禁じ、彼らがオックスフォードに流れ込んだ1167年以降は、急激な成長を遂げた。

イギリスの大学生にとって、実家暮らしはかなり稀なケースだ。ほとんどのイギリスの若者にとって、親元を離れるということが大学に行くことの「核心」みたいなものだったりする。

大学の寮に門限はない。学生には専用のバーもあり、大抵は学生組合が経営している。オックスフォードでは、それぞれのカレッジの学生専用のバーもある(僕が最初に日本に来たとき、大学生の寮には門限があり大学にはバーがないと知って、あまりの違いに驚いた)。

イギリス歴代54人の首相のうち27人がオックスフォード出身で、なかにはサッチャーやブレア、キャメロン、メイも含まれる。際立っているのは、その27人のうち13人がクライスト・チャーチ出身だということだ(オックスフォードの38のカレッジの1つで、年間150人前後が入学する)。

オックスフォードはケンブリッジよりも多くの英首相と政界重鎮を生み出し、その中には外国の首脳も含まれる(例えばオーストラリアの現首相、ミャンマーの国家顧問、ペルー大統領など)。だが、ケンブリッジのほうが多くのノーベル賞受賞者を輩出している。

ほかにも有名なオックスフォード卒業生はといえば、ヘレン・フィールディング(『ブリジット・ジョーンズの日記』の著者)、サイモン・ラトル(有名指揮者)、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(『ハウルの動く城』を書いた)、ティナ・ブラウン(元ニューヨーカー誌編集長で元デーリー・ビースト運営)、アイリス・マードック(著名作家で映画『アイリス』のモデル)、ゾーイ・へラー(『あるスキャンダルの覚え書き』が映画化もされた作家)、リン・バーバー(ジャーナリスト、自叙伝が映画『17歳の肖像』の原作に)などがいる。

事実、今述べた彼ら卒業生は皆、ある1つのカレッジ――オックスフォード大学の中では新しいカレッジの1つで、1979年までは女子専用だったセント・アンズ――の学生かチューターだった。そしてこれは、僕が学んだカレッジでもある。

(文:コリン・ジョイス)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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