「絶対不幸にならない人」の心は何が違うのか アパホテル、元谷芙美子社長のポジティブさ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして今、愛すべき家族に、社員に、大勢の素敵な人たちに囲まれて胸を張って「幸せだ」と言える毎日を送っている。だからまず皆さんにお伝えしたいことは、人生いろんなことが起こるけど、決して逆境と考えるべきじゃないということ。必ずその先の未来に希望が待っている。まずはそう信じてみると道が開けていくと思います。

ひどい誹謗中傷だって気にしない

だいたい人生なんてものは、いつも予想外のことが起きるもの。私だって自分が社長になるなんて考えてもいなかった。でも、アパホテルが開業して10年という節目のタイミングで主人から社長を任されて。そのとき私はグループ社員一同の前でこう宣言しました。

「私はホテル業界のジャンヌ・ダルクになります!」って。そのときのアパホテルはまだ全国展開する前の北陸にある小さなホテル会社で、経営はいつも赤字スレスレ。だから、私のこの発言を聞いた皆は「何を言ってるんだ、この人は……?」っていうぽかんとした顔をしてた(笑)。拍手なんて一切なし。会場はシーンと静まり返っていたのを覚えています。

元谷 芙美子(もとや ふみこ)/福井県出身。高校卒業後、福井信用金庫に入社。営業として活躍した後、元谷外志雄氏と知り合い、結婚。71年、夫が起業した信金開発株式会社(現:アパ株式会社)に入社。94年、アパホテル株式会社取締役社長に就任。自ら広告塔となってメディアに登場し、アパホテルの認知度向上に貢献。以降、順調に成長を続け、2018年2月現在、アパホテルネットワークの部屋数は74,000室を超える。著書に『強運 ピンチをチャンスに変える実践法』(SBクリエイティブ)などがある(写真:Woman type)

でも、私は必ずできると信じて疑わなかった。そのために取った戦略は、私が広告塔になること。当時、海外では経営者が自分の顔を新聞などに大きく出し、会社のことを語るのは当たり前でした。

けれど、日本のトップは皆サラリーマン社長で有名な大企業であっても社長の「顔」が見えてこない。消費者にとっては誰が社長で、誰が責任を持っている人かなんて全然分からないんですよ。それは今もほとんど変わっていない。でも、私はもっと透明性の高い経営がしたいと思って、自分が顔を出して広告に出ることを選びました。

それも、ただ出ただけじゃ面白くない。せっかくの女性社長ですから、華やかさと聡明さがあった方がいいと思ったんです。けれど、自分の容姿に正直自信はない(笑)。だから、知性や品性をプラスしようと思って、今みたいに大好きなお帽子をかぶって広告に出ることにしたんです。

日経新聞の一面に「私が社長です」ってドーンと出てね。そうしたらもう、誹謗中傷の嵐が始まりました。「公共の福祉に反する!」なんて書かれた手紙ももらいましたよ(笑)。私は手元に届いた手紙に全部目を通し、こうお返事をしました。「ご意見ありがとうございます。よろしければぜひ私に会いに来てください。そうしたら、きっと好きになっていただけると思います」って、宿泊券を添えてね(笑)。

次ページクレームだって反響の一つ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事