「社会派映画」に挑んだスピルバーグの使命感 ペンタゴン・ペーパーズ事件を描いた力作

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スピルバーグ監督の最新作は、「ペンタゴン・ペーパーズ事件」を題材にした社会派映画だ(東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら) ©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

1971年、ベトナム戦争に関する“政府の不都合な真実”が記された文書を手に入れたジャーナリストたちは、いかにしてリチャード・ニクソン政権の圧力に屈せずに、「報道の自由」を守り抜いて報道していったのか――。

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ハリウッドを代表するヒットメーカー、スティーヴン・スピルバーグ監督最新作となる『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(3月30日より全国公開)は、強い信念を持って政府の圧力に立ち向かったジャーナリストたちの戦いを描き出した社会派ドラマである。この出来事は後に、現役の大統領が辞任する原因となる、アメリカ政治史上最大のスキャンダル、「ウォーターゲート事件」につながっていく。

この作品の舞台はニクソン政権下の1971年、長期化するベトナム戦争に対する反戦運動が激化していた時代だ。ある日、国防総省によって作成されたベトナム戦争に関する客観的な調査報告書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」が持ち出された。

「報道の自由」を脅かされたペンタゴン・ペーパーズ事件

そこには、ハリー・トルーマン、ドワイト・アイゼンハワー、ジョン・F・ケネディ、リンドン・ジョンソンという4人の歴代大統領たちが国民に虚偽の報告をし、政府が平和的解決を模索していると発表した時でさえ、「軍とCIAは極秘に軍事行動を拡大してきた」という、政府にとっての“不都合な真実”が数多く記されていた。

その文書を入手したニューヨーク・タイムズは、その内容の一部を公表、大スクープを飛ばした。一方、政権の屋台骨を揺るがしかねない文書の秘密を明らかにしようとするメディアに対して、当時のニクソン政権は、記事の差し止め命令を連邦裁判所に要求するなど、その火消しに躍起になっていた。

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