「報告書は作業前に書いちゃう」のスゴい効果 「爆速+高生産性」の人がやっている裏技

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報告書を事前に半分書くことで出張の質が高まる効果は、仕事全体へと波及していきます。

論点整理をしてゴールを明確にした打ち合わせを行うことで、必要な合意がしっかりと得られたり、期待していた情報を確実に手にすることができたり、あるいは、今後の方針を誤解なく共有することができたりします。その結果、関係者間の認識の違いによる仕事のやり直しや、合意の詰めが甘くて再度の打ち合わせを余儀なくされることなど、余分な仕事が発生する可能性が減ります。

すなわち、仕事全体がより確実に、より迅速に動いていくため、単位時間当たりのアウトプットである生産性が向上していくのです。

この考え方は、出張だけでなく、日々の業務日報や顧客との打ち合わせ報告、営業会議や商品開発会議の報告書など、何らかの業務活動のあとに報告書の提出が求められている仕事に対してほとんど適用できます。

やはり事前に報告書を半分書いて論点整理を行い、空欄効果でゴールに焦点を当てることによって、顧客との打ち合わせや会議などの質が高まり、さらにその先の仕事へと効果が波及していきます。

圧倒的に仕事の速い人は「効果性」を意識している

生産性を高めるためには、同じ仕事をより短い時間で行う「効率性」の視点と、仕事の質を高める「効果性」の視点があります。

たとえば、お客様への提案資料を作成する場合、プロセスのルーチン化やシステム化によって、作成時間を短縮するのが「効率性」です。それに対して、より強く相手の琴線に触れ、心を動かすことができる内容へと工夫することが「効果性」です。

「効率的にプレゼン資料を作成する」と「効果的なプレゼン資料を作成する」は、まったく別物であることを考えればその違いがご理解いただけるでしょう。

ここで紹介した例は、報告書作成にかける時間を短縮する「効率性」の話ではなく、仕事の質を高める「効果性」の話です。普段、何げなくやっている仕事の順番を工夫するだけですが、その効果が仕事全体に波及して、生産性向上に対してより大きな影響を与えることになります。

圧倒的な速さで仕事をして、しかも質の高いアウトプットを出している人は、「効率性」だけでなく「効果性」を強く意識した仕事のやり方に心血を注いでいるのです。

櫻田 毅 人材活性ビジネスコーチ

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さくらだ たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。近著に『管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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