自給率ほぼ0%、「国産綿花」再興への道のり

今後、注目すべき地方の新たな産業になるか

実際の「綿繰り」の様子(筆者撮影)

オーガニックコットンを生産する過程で特に手間暇を要するのが、種や殻を取り除く「綿繰り」という工程です。工場から車で30分ほどの場所にある球磨工業高校は 『マインド熊本』から依頼を受け、電気科の課題研究として電動綿繰り機を製作。

この機械により、以前よりも手作業の負担が軽減されました。

こういった動きの中で地域住民の結びつきが強まり、今では和綿を中心に1つのコミュニティが形成されています。栽培や収穫に人手を要するオーガニックコットンだからこそ、老若男女問わず、多くの方たちが関われる余白が生まれたのでしょう。

オーガニックコットンは高いのか

『マインド熊本』は、パリコレに出展した国内ブランドの洋服を手掛けた実績もあるように、縫製の技術はお墨付き。現在はOEMでの生産が中心ですが、あさぎり産の和綿100%の自社商品も開発しています。主な商品はハンドタオル・ハンカチ・ベビー用品・布ナプキン・ストールなどで、柔らかい肌触りが印象的です。

ただ、オーガニックコットンは栽培や収穫に手間暇がかかるため、その分の工賃が商品に上乗せされます。値段はハンカチ1枚で数千円。綿花の自然な色をそのまま活かすとなるとカラーは生成りか茶色に限られるように、デザインの自由度は高くありません。天然染料を使うという手もありますが、値段はさらに上がります。

『マインド熊本』で作られた製品の数々(筆者撮影)

しかし、この値段を高いと捉えてしまうのは、Tシャツが1000円以下で当たり前に買える今の価値観を基準にした場合の話。

低価格の裏側には、生産を行っている発展途上国の方たちの多大なる犠牲があります。

コットン栽培の現場は過酷です。農薬や除草剤、落葉剤、化学肥料が大量に使われており、農家の方たちは深刻な健康被害を受けています。他にも、環境汚染や児童労働など、問題は山積み。犠牲の上に成り立っている今の価値観が適正であるとは思えません。この現状を見つめ直し、「オーガニックコットンは高い」という風潮を是正していく動きは、アパレルの未来にとって必要なことです。

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