人生100年時代、「自己紹介」は最強のスキルだ 共感を呼ぶ「キャラクター」の秘訣とは?
石川:自分にとって新たな業界の人と会うことになると、たいてい「はじめまして」「何をやっている人なんですか?」「予防医学の研究です」という流れになります。で、ありきたりな会話が2、3往復あって、「ふーん。まあ、よろしく」と言われて終わってしまう。
興味持たれていないなあ、こちらは相手の方にいろいろと教えてもらいたいし、ディスカッションしたいと思っているのに、これは困ったなと。そこが思考のスタートになりました。
自己紹介の目的とはなにか?
相手からすれば、僕は、何者でもないわけだから、興味を持ってもらうには効果的に自己紹介しなければなりません。そこで、そもそも自己紹介の目的とはなんだろうかと考えてみました。なんとなく「相手に理解してもらうこと」だと思っていましたが、よくよく考えるとそれは違う。
たとえば、僕がなぜ予防医学に興味を持ち、どのような道をたどってここにいて、今後どうしたいのかをとうとうと話したとします。そして、相手がそれを我慢して聞いてくれて、僕のことを完璧に理解してくれたとしましょう。
しかし、その人が他の場所で、僕の話したことを話題にしてくれなければ、なんの意味もない。自己紹介の目的は、「自分がいない場面でも、自分のことが話題にあがること」です。これが成立したとき、その自己紹介は正解となる。そう考えると、むしろ理解されないことも大事ではないかと思うようになりました。
たとえば「この前、石川さんていう人に会ったんだ、なんだかよくわかんないんだけど面白い人でね」なんていう興味の持ち方もあります。理解してもらわないほうが話題になりやすかったり、相手が興味を持って、理解したいと思ったりすることがあるということです。
自己紹介にはステージがあると考えます。第一段階は、自分の業界内で、自分がいないときでも自分のことが話題にあがること。その次が、業界の外でも話題になること。
この業界内の人、業界外の人というのは「現代の人たち」のことです。究極的に言えば、これを超えて「後世の人たち」までが、自分のことを話題にしてくれたらすばらしいし、そんなことを思って生きていけたらすごいんじゃないかと想像したりもしました。
しかし、業界内、業界外、後世の人、どれも条件や感性がまったく違うわけです。現代の人たちの中で一世を風靡したとしても、それは今という時代に寄りすぎている可能性がありますし、後世の人には残らないかもしれない。かと言って、後世の人に話題にされるよう振る舞おうとすると、今の人にはまったく刺さらない可能性がある。
まずは、自分の業界内の人に認めてもらわないと話にならないわけですが……こういった話について、具体的なところを今度のセミナーでじっくり話そうと思っています。
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