効率追求が「生産性」を落とす残念な3大理由 仕事は「長期と短期」2つのリターンがある

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人間誰しも得意な仕事をすることで成果を出し、承認欲求(人から認められたい、自分は役に立っているという実感を持っていたいという欲求)を満たしたいものですが、それが強すぎると視野狭窄になります。多くの後進を育てるとともに、「他の人がやってもできるような仕組み」をしっかり作るということにこそ、より大きく価値を置くようにしたいものです。

「見えない味方」をいかにつくるか

仕事術の本の中には「依頼された仕事のなかでも、本当にやらなくてはならない仕事以外は丁重に断る」ということを提唱するものもあります。効率をあげるには無駄を減らすことが近道ですから、これはある意味理にかなっています。

何でもかんでも依頼を聞いていると、同時処理ができなくなり、仕事が「渋滞」を起こすことにもなりやすいですから、それを避けることにもつながります。ワークライフバランスを重視し、さっさと帰りたい人にとっても魅力的です。

しかし、つねにこのやり方がいいかというと、そんなことはありません。たしかに瞬間的には効率化が図れますが、いざ大きな仕事を任されたときに、過去に仕事を断った人たちからの協力を得にくくなり、長い目では生産性が下がってしまうからです。

人間には「返報性の原理」と呼ばれる心理が働きます。これは「何か借りがあったら、お返しをしないと気持ち悪い」という心理です。

常日頃から相手にちょっとしたことであっても何らかの形で協力しておけば、いざという時に返報性の原理が働き、協力を取り付けやすくなるのです。返報性の原理は、貸し借りの大きさが釣り合っている必要はなく、時にはちょっとした「貸し」があるだけでも大きなリターンとして返ってくることが知られています。

だからといってすべての仕事の依頼を受ければ、仕事の納期遅れや質の低下が生じ、かえってマイナスのイメージを与える可能性もあります。だから、仕事は無条件で引き受けず、選ぶことが必要です。

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