コーヒー豆「モカ」の輸入が激減、メニューから姿消す喫茶店も

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 「コーヒールンバ」でも歌われ、日本人に人気の高いコーヒー豆「モカ」。ところが今年5月以降、輸入量が昨年度の10分の1にまで激減。メーカー在庫も底をついており、一部の店頭からモカが姿を消しつつある。

モカは果物のような甘酸っぱい香りが特徴の高級豆。2007年の輸入量は約3万トンで、ほとんどをエチオピアに頼る。しかし直近の07~08年産の9割に相当する生豆から、日本の基準値を上回る残留農薬が検出された。日本から調査団が派遣されたが「原因解明に至らなかった」(全日本コーヒー協会)。輸入再開のメドは立っていない。

この異常事態にメーカーも困り果てる。業界大手のUCC上島珈琲は、7月末にモカの製造を休止。取扱量の1割弱をモカが占めており「ブレンド豆にモカを入れないと味が変わる」(辻本誠常務)と売り上げへの影響を懸念する。キーコーヒーでも喫茶店向けなど業務用で代替商品への切り替えを進めており、9月末には家庭用もモカ抜きへと完全に切り替わる。

喫茶店も事情は同じ。銀座に店を構える壹眞(かづま)珈琲店では「モカの人気は高い。しかし9月末で在庫が切れるため、メニューから外す。創業以来初めてだ」と困惑する。販売再開を待ち望む声は強いが、しばらく我慢するしかなさそうだ。

(山本亜由子 =週刊東洋経済)

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