公認会計士も高度な専門職ですが、弁護士以上にその業務は定型化されているため、AIの大いなる脅威により晒されているといえます。公認会計士が最もやってはいけないのは、企業の不正会計を見逃してしまうということです。
ところが、東芝の不正会計が2015年に発覚するまで、有名な大手監査法人はその不正を9年間も見抜くことができなかったといいます。AIは膨大な資料やデータを読み込み、日々の分析と学習を重ねているので、人では見抜けない間違いや不正などにも気づくといわれています。AIが東芝の担当をしていれば不正会計は見破れたのではないかという話があるくらいですから、公認会計士の業務の大半がAIに置き換わっていくのは避けられない見通しにあります。実際に、多くの公認会計士が「10年後にはAIに仕事を奪われているかもしれない」と、戦々恐々としているということです。
「士業」の人々が「先生」でなくなる日
弁理士、税理士、司法書士、行政書士といった専門職にも、弁護士や公認会計士と同様のことがいえます。これまでの弁理士であれば、特許に関する調査や申請といった業務を淡々とこなしていくことで、将来の仕事がなくなるなどと心配をする必要はありませんでした。また、税理士であれば、企業・事業主の決算や税務相談を冷静にこなしていくことで、それなりの役割を果たし続けることができました。
しかしながら、将来的にはAIが業務の大半を代替できるようになるため、専門職の人たちの経営環境は激変していき、10年後には今の仕事の半分以上はなくなっているかもしれないのです。高度なスキルによって今まで東京の一等地で成功を収めてきた人ほど、そういった危機感や悲壮感を持ちながら、生き残りの方策を探ろうと試行錯誤を繰り返しているといいます。
訴訟(裁判)にしても、会計監査にしても、特許の出願にしても、人の頭脳をはるかに凌駕するAIが瞬時に答えを出してくれる時代が着々と近づいてきています。
そこで必要になるのは、AIの判断を最終的に確認する役割を担う一部の人たちだけになっていくでしょう。弁護士ならば訴訟(裁判)によって傷ついた依頼人の心のケアといった、AIにはできない領域に活路を見いだすなど、弁理士ならば顧客の発明をさらに価値あるものにするために知恵を絞るなど、士業の人たちは新たに生き残る道を模索していかざるをえなくなるのです。
これまで「先生」と呼ばれてきた、弁護士や公認会計士をはじめとする士業の人たちですが、AIの普及が本格化していく時代では生き残ることができるスキルがなければ、「先生」と呼ばれなくなるどころか、仕事そのものを失ってしまう可能性が高いというわけです。
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