「製品テストをできる店」は、なぜ人気なのか

米国のイノベーションを支える小売店の正体

スタートアップだけでなく、大手企業もb8taに製品を並べたがる。たとえばSnapchat用カメラ付きサングラス「Spectacles」も、大きなスペースを取ってユーザーの興味を誘う(筆者撮影)

それ以外にも、iPhoneに直接取り付ける高画質デジタルカメラ「DxO ONE」や、サンフランシスコの街中で見掛ける電動スケートボード「Boosted」、Snapchat用カメラ付きサングラス「Spectacles」、コムキャストのスマートホーム製品など、知っているけどまじまじと見たことはない、という製品ばかりに出合うことができた。

店舗のスタッフは誰もが製品の詳細を熟知しており、ある製品を見ていると、その製品に触れてみての感想や疑問などを筆者から自然に聞き出していった。

ロウブ氏によると、顧客の73%が、b8taストアでその製品を初めて見たと答えており、アイデアが詰まった新製品と顧客を引き合わせる場としての機能を存分に発揮していることは、一度店を訪れれば納得できる。

日本ではおなじみとなったソフトバンクロボティクスのロボット「ペッパー」も、米国市場での発売に際しては、b8taストアが活用された。

サンフランシスコのb8taストアには現在130の製品が並び、毎月1日に商品が入れ替わる。店舗のスタッフは製品入れ替えまでにその製品に関するあらゆることを学び、訪れた顧客に説明することができるようトレーニングされるそうだ。

「イノベーション」は訓練や練習の賜物

シリコンバレーでは、破壊的イノベーションという刺激的なキーワードとともに、まったく考えもしなかった新しいことが生まれている――そんなイメージを持っている方も少なくないだろう。しかし実際には異なる。

「イノベーションは、訓練や練習の賜物だ」といわれると、少し拍子抜けするかもしれない。しかし、スタンフォード大学の大学院プログラムd.schoolでは、1年間でイノベーションの起こし方を徹底的にたたき込む。問題定義、議論の仕方、ストーリーの組み立て方、スケッチの描き方、プロトタイプの作り方、テストの方法などを繰り返し練習し、実際のビジネスやスタートアップで実践するのだ。

テストは一般に、プロトタイプを作って行うが、一度テストを行えばいいというわけではなく、発売後も改良に向けたテストを続けることになる。たとえばグーグルはあのシンプルな検索でも、膨大な数のABテストを繰り返しているという。素早いプロトタイピングとテスト、そこから得られるフィードバックの繰り返しが、競争力になる。

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