「製品テストをできる店」は、なぜ人気なのか 米国のイノベーションを支える小売店の正体

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新しいスポーツ用品も販売されていた。モーター付きスケートボード「Boosted」は、サンフランシスコ市内で見掛ける頻度が高い製品だ(筆者撮影)

店の入り口にはスマートホーム製品が配置されており、スマートキッチンも勢力を伸ばしてきたという。またスマートフォンアクセサリーは定評があるほか、スポーツや旅行関連、デジタルおもちゃ、空気清浄機など、テクノロジーを生かした製品が所狭しと並ぶ。

一方、まったくテクノロジーと無縁の化粧品も人気があり、店舗内で最も販売数が多いのは替えのブラシがサブスクリプション(定期配送)で届くデザインの美しい電動歯ブラシ「Quip」だという。必ずしも、テクノロジーにかかわる製品だけにこのモデルが有効なわけではない点は、デザイン思考がより幅広いビジネスモデルであることの表れだ。

電動歯ブラシ「Quip」は、b8taストアの中で最も販売が好調な製品だ。b8taストアには、必ずしも、スマホと連動したり、高度なテクノロジーを駆使したものばかりではない(筆者撮影)

店頭をベータテストの場に変えてデータを集める方法は、まるでリアル店舗版のGoogleアナリティクスのようだし、人々に見たことがない製品を紹介し、手に取ってもらう場を提供する様子は、米国で最も床面積あたりの売上高が高いApple Storeのようでもある。ウェブとリテールのトップ企業を高い次元で融合させたb8taストアの成長は、まだまだ続いていくことになるだろう。

日本市場にも興味を示す

ジェネラルマネジャーのケビン・ウィルソン氏は、このモデルの有効性は米国にとどまらないという。

「このビジネスモデルは、どんな製品に対しても適用することができると同時に、世界中のどんな地域でも有効だと言えます。キックスターターで製品を立ち上げたばかりのスタートアップだけでなく、サムスン、スナップ、グーグルでも利用できます。世界中のメーカーが、店頭を製品テストの場に変え、データを集めたいと願っているのです」

中国、中東とともに、日本市場にも興味を示すウィルソン氏。われわれの店頭での振る舞いが、未来の大ヒット商品に貢献するようになる日も近い。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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