アメリカの橋梁や道路は、本当に危険なのか トランプ大統領の「インフラ劣化説」を検証
●幹線道路にかかる橋梁の約9%が、昨年時点で構造的な問題を抱えていると考えられる。だが1日最低1万台の車両が通るような交通量の多い橋梁のうち、問題があるのはわずか4%。とはいっても、倒壊の危険が迫っているわけではなく、単に改修が必要だという程度だ。
●20万台以上の車両が通る、国内で最も交通量が多い約1200カ所の橋梁については、この数値は2%以下、つまり20カ所以下にまで減少する。
●構造的に問題があるとされる橋梁の比率は、1992年に22%、2009年に12%と、ここ数十年で低下している。
実際、2014年の学術的研究では、毎年約120カ所の橋梁が倒壊ないし部分的に倒壊しているという結果が出ているが、ほとんどが構造的劣化ではなく、洪水、火災、そして衝突によるものだ。
また、倒壊した橋梁の大半は通過車両数が1日755台未満であり、死傷者が出たものは全体の約4%にすぎない。
米国の道路インフラは依然として世界最高レベル
「私たち一般市民は安心すべきだ」と、2014年に橋梁欠陥に関する研究を執筆したニューメキシコ鉱業技術研究所の構造エンジニア、ウェズレー・クック氏は語る。
今回のロイターによる分析は、米国の道路インフラは依然として世界最高レベルだといういう、複数の独立した評価と一致している。
橋梁を含む道路ネットワークでは、米国は主要先進国のなかで世界第3位にランクされており、日本とフランスには後れを取るものの、ドイツ、英国、カナダ、イタリアを上回っている。これは、世界経済フォーラム(ダボス会議)がまとめた、企業幹部による最新の「世界競争力報告」からのランキングだ。
インフラ全般の質に関するランキングでも、米国は日本とフランスに微差で続いている。
専門家は、今後10年間で官民のインフラ投資を1─2兆ドル増やせば、拡大する経済のニーズを満たす、あるいはそれに近づくことになるという点に同意している。