AIで本当に人間の仕事はなくなるのか?

アダム・スミスが予見できなかった未来

そしていま、日本という国の中で、人びとの生活を大いに便利に、豊かにし、同時に、経済をうまく循環させるために日本中に購買力を運んでくれている仕事は、ダントツで医療福祉、その次が情報通信業である。

サービス業が受け取る支払いは十分か?

もっとも、医療、介護、保育、教育など、国民がサービスの利用段階における平等性を強く求めるものの経済規模は、政府の財源調達力に強く依存する。このことを国民がしっかりと理解しておかなければ、医療、介護、保育、教育などの社会サービスは極めて貧弱なものとなる。

こうした産業は、主に公定価格の下で運営されているのだから、生産性、いわゆる付加価値生産性を上げよと言われても困ってしまったりもする。医療介護の付加価値生産性は、診療報酬や薬価基準、それに介護報酬の改定率とパラレルに動くし、それでも無理に付加価値生産性を高めようとすると、診療行為や介護行為を増やさざるを得なくなる。それでは、患者の尊厳を尊ぶべき医療や自立支援を大きな目標に掲げる介護など、こうしたサービスの理念に反してしまう。

現在の日本では、就業者のおよそ7割がサービス産業に従事し、マルサスの視点からみれば、「彼らのうけとる支払いに比例して需要を創出するという彼らの能力によって他人の生産を刺激するものとして」経済活動に関与している。

昨今、サービス産業の生産性は低いとみなされて、生産性革命が言われている。その際に多用されている生産性は付加価値生産性であって、その付加価値の低さは、ほぼ「彼らのうけとる支払い」の低さに等しい。この「うけとる支払い」が需要を創出して「他人の生産を刺激する」というのが、ケインズが有効需要理論の祖とみなしたマルサスの論であった。つまり、「うけとる支払い」が低かったり、需要が飽和している人ばかりに支払いがなされたりする社会では需要の創出が不足し、他人の生産を刺激して促される投資も不足することが予測される。

では、なすべき社会・経済政策はいかなるものか。

そうしたことを考えてもらうために、非生産的労働者に会う度に、「あなたは何を生産していますか?」と問うていたりもする。

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