グリーがついに正社員削減に着手 大阪オフィスを廃止。社員には退職を勧奨

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「ガラケー向けのゲームプラットフォーム」に取って代わるような新事業が生まれていない

振り返れば、グリーの業績のピークは、「コンプガチャ騒動」が起こる直前の2012年6月期の第3四半期(12年1~3期)だった。スマートフォンがブームになる前には、ガラケー上のゲームプラットフォームで大きな収益を上げることができた。

しかし、コンプガチャ騒動と相前後して、猛烈な勢いでスマートフォンが普及していく。その流れの中で、グリーやモバゲー(ディー・エヌ・エー)のプラットフォームを通さない「パズル&ドラゴンズ」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)など、ネイティブアプリと呼ばれるゲームが増えてきたこともあり、劣勢を強いられるようになった。

グリーと同様のゲームプラットフォームビジネスを展開する競合のディー・エヌ・エーも、今期(2014年3月期)は2005年2月の上場来初の営業減益に沈む可能性がある。

ネイティブアプリに復活託す

こうした中、グリーは業績のテコ入れを図るべく、9月27日の株主総会で取締役4名を新たに選任し、大幅な経営体制の刷新を決議した。また、新たに選任された取締役の任期は、経営責任を明確化するために従来の2年から1年にした。

最大の狙いは、今後の有望市場とされるネイティブアプリの強化だ。

グリーは株主総会を経て、従来のグリープラットフォームを通したブラウザーゲーム、ネイティブアプリ、新規事業の3つに主要事業を分けた。ネイティブアプリ事業全体を統括するのは米国拠点の責任者を務める青柳直樹氏で、その下に今回取締役に新任した荒木英士氏、前田悠太氏が個別にゲームを見るという手厚い布陣を作った。

荒木氏は2004年12月に創業したグリーの4番目の社員で、直前まで米国拠点のナンバー2だった。前田氏はグリーが12年10月に買収したポケラボの社長を兼務する。青柳氏は米国事業を引き続き統括するが、既に生活拠点は日本に移している。

ネイティブアプリ事業以外については、ブラウザーゲーム事業が取締役執行役員副社長の山岸広太郎氏が責任者を務め、新規事業は田中良和社長が直接手掛ける体制だ。

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